表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結&1109万PV突破!】エージェントは異世界で躍動する!  作者: 琥珀 大和
エージェント、またどこかに飛ばされる!?
664/1622

第二章 亜人の国「 ダークエルフ⑮」

「確か、シュラという名前だったと思うが、間違いはないか?」


「······························。」


無言で頷いたシュラの瞳からは、敵意が消えていた。しかし、警戒心がまったくなくなった訳ではない。


先程のやり取りで、少しは話を聞くつもりになったのだろう。


籠絡者(ケージマン)のスキルは、敵意丸出しの相手に使うと、この程度のものだ。本来は、もっと初対面から良い印象を与え、時間をかけて信頼を上げていかなければ、籠絡など成功しない。


シュラが精神的に若く、自己嫌悪や自責の念に押し潰されそうになっていたので、敵意という感情が大幅に軽減できた。


異世界のスキルとは違うのだ。


エージェントとして暗躍していた世界では、完全無欠のスキルなど存在しない。いや···超能力(スーパーナチュラルパワー)を持つ人間が実在はしていたから、絶対とは言い切れないか。それに、俺のソート·ジャッジメントもその類いだ。先天的才能と、後天的才能の違いと言えるだろう。


「シュラ。リーナ様と話がしたい。立ち会ってくれてもかまわないから、彼女の所に案内をしてくれないか?」


「何の···話をするつもり?」


「俺は、人族と亜人の社会が共に歩めるかどうかを確認したい。ここに立ち寄ったのは偶然だが、元々は君らの住む国を目指していた。」


「共に···歩める社会···。」


「そうだ。シュラは、この村に住むエルフをどう思う?」


「ダーク···エルフ?」


「彼らは、元々は普通のエルフだ。」


俺はダークエルフと呼ばれるようになった経緯を説明した。


「そんな···。」


シュラは初めて知るダークエルフの歴史に、瞳を大きく見開いて驚きを見せる。


「彼らと出会ってから、その優しさや親切心に懐疑的だったかもしれない。でもそれは、ダークエルフが悪しき存在だと信じていたからだと思う。」


「·····························。」


「人族にも浅黒い肌の人間はいる。それは悪い心を持っているのではなく、生まれ育った環境によるものだ。彼らもそれと同じなんだ。」


「·····························。」


シュラは押し黙ったが、表情を見る限り、頭の中では理解ができたようだ。


「亜人と呼ばれる様々な種族も同様だ。善人も悪人もいるが、それは人族も同じだろう?」


シュラは急に真顔を向けてきた。


「···あなたはどっち?」


「どっちとは?」


「亜人には見えない。」


回答が難しい質問だった。


今の俺は何なのだろうか?


「元は人族だ。」


「元?」


「なぜか、知らない間に魔王になっていたらしい。」


途端にシュラは、「は?」という顔をした。


意味がよくわからないのだろう。


俺にも訳がわからないからな。


「じゃあ···魔王も同じなの?」


「ん?」


「固定観念で、魔王は邪悪な存在だと考えていた。さっきのダークエルフの話と同じで、そうではなかったの?」


「魔王と言うのは、ただの呼称だ。シュラが想像しているような魔王なら、こんな話をすると思うか?」


「それは···絶対にない。」


「だろうな。」


「わかった。なんとなく理解できた。」


生真面目なのだろうが、頭の良い娘のようだ。


リーナも同じなら良いのだが···不安だ。





おもしろい!早く続きが読みたい!と思っていただければ、広告を挟んだ下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけるとモチベーションが上がります。

よろしくお願いしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ