第二章 亜人の国「 ダークエルフ⑪」
「魔王様は···やはり人族と戦争を起こすつもりなのか···。」
レド爺が、悲嘆に暮れた声を出した。
リーナ達は腹パンからの衝撃から何とか回復し、広場を後にした。
それを見届けたエルフ達も集会場に戻ったが、一同の表情は暗い。
「アグラレス様のメッセージは、私たちに光をもたらすものだった。その使者として来たタイガさんが、まさか魔王様だなんて···。」
リリィの声も沈んでいる。
ガイは己の軽率な行いに腹を立て、拳が白くなるほど握りしめた。
コンコン。
集会場のドアがノックされた。
一番近くにいたガイは、苛立ちを抑えながらドアを開ける。
「少し話がしたい。」
そこに立っていたのはタイガだった。
「なぜ···あんなことを?」
複雑な表情を浮かべるエルフ達に囲まれながらも、タイガは会議用のテーブルについた。
「さっきの広場でのことか?」
「そうだ。あんたが魔王であると、俺たちはアグラレス様から聞いた。人族と争うつもりなのか?」
険しい表情をしたガイは、怒りを押し隠しているように見えた。
「彼ら人族の現状を知りたかった。」
「腹を殴る行為はどうかと思う。しかも、あのリーナって娘は、おそらく王族だ。そんな立場の人間に手を上げて、ただでは済まないだろう?」
「そうだな。確かにやり過ぎたかもしれない。でも、偶然だが彼らの目的がわかった。」
「·······················。」
結果論だが、なぜかリーナが魔王に執着していることがわかった。しかも、かなり病的に。
「はあ···それでどうするんだ?」
あきらめたような表情で、ガイは質問を変えてきた。
「彼らがここにいる経緯を聞きたい。」
「·······················。」
「大丈夫だ。人族と大がかりな戦争をしたりはしない。あのリーナの様子を見ればわかるだろう?なぜだかはわからないが、魔王という存在を必要としている。しかも敵対者ではなく、どちらかと言えば懐柔したいと考えていそうだ。」
ガイは納得できない表情ではあったが、やがて彼らを招いた経緯を話し出した。
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