第二章 亜人の国「 エージェント vs 魔神⑬」
「責任···取ってね···。」
うるうるとした瞳で、そんなことを言うカリス。
責任って言われても困るぞ。めちゃくちゃ年上だし。
とりあえず、話をそらそう。
「···なぜ、体が小さくなっている?それに、顔つきも少し変わったが···。」
先ほどまでは、身長も俺と同じくらいあった。それにルックスも、中性的ではあったが男性と言われて疑問がわかない感じの目鼻立ちだったはず。今は15センチくらい背が低くなり、顔も全体的に柔らかさが出ている。
「これが本当の僕の姿だから···。」
「·························。」
「···黙りこまないでよっ!は···恥ずかしかったんだからねっ!!」
いや···俺がさせたわけじゃないだろ···。
「魔法で擬態か?」
「うん。」
「それで、なぜ容姿を偽っていたんだ?」
「僕は学者なんだよ。女だといろいろと弊害があるんだ。」
「弊害?」
「今の時代はそれほどでもないけど、昔は女が知識人を気取るっていうのがタブーだったんだ。それに···。」
「それに?」
「学者にはスケベジジイが多いから。若い女性を見たら、発情するのよ。」
発情って···猿かよ。
「そうか。苦労したんだな。」
「うん···。」
「じゃあ、そういうことで。」
俺は片手をあげて踵を返した。
魔神などにあまり関わりたくはないのだ。
「と言うわけで、魔神カリスくん改め、カリスさんだ。」
「「「「「「·······························。」」」」」」
全員が無言だった。
いや、頼むから何か言ってくれ。
「···あなた、何をしたの?」
ミーキュアから出たのは、そんな質問だった。
「話し合いをした。」
「···ずいぶんと懐かれているのね。」
カリスは、俺の服をギュっと掴んでいる。先程の現場から逃げ去ろうとすると、後ろから追ってきて、この状態がずっと続いているのだ。
「まさか、魔神を従えてくるなんて···。」
イリヤが口に手をあてながら、つぶやいている。
いや、俺も想定外だったぞ。
因みに、ティーファとアレックスは呆けた顔で固まっており、ミンに至っては、腹を押さえながら笑っていた。
もう、本当に勘弁して欲しい。




