第二章 亜人の国「 エージェント vs 魔神⑩」
神威術の1つが発動した。
神アトレイクの力で使用していた空間収納。亜神となったことで、自己発動が可能になったらしい。
四◯元ポケットと命名しようかと本気で悩んだが、この世界では誰も知らないのでネタにはならず、最終的に止めにした。
空間収納は空間収納で良い。
とにかく、そこから手に馴染んだ武具がキーワードに反応して顕現する。
余談だが、キーワードの変更方法は不明のままだ。
AMRー01。
死を振り撒く、全長1400mmの銃身。
両手で持ち、立射姿勢で構えた。
魔道具で、宙に浮かぶ核に照準を合わせる。
「的が見えやすくて助かる。」
銃身から真っ直ぐにのびる赤い点が核をとらえた。
ドッゴーン!
50口径の大口径弾が空気を切り裂き、核に命中。魔石は粉々となり、風に流されていった。
絶対的な力を持つ者は、愚行を犯す。本来なら、障壁などで核を守るべきところを、カリスは俺が魔法を使えないと思い怠った。
一発で片がつくとは思っていなかったが、これで魂の盟約は成立する。
カリスが降りてきた。
「ね、ねえ、今の何?魔道具かい?あんなのは初めて見たのだけど。」
勝負に敗けたから気落ちでもしているのかと思ったが、予想に反して異常にテンションが高かった。
「俺が依頼して作ってもらった魔道具だ。魔法の代わりになるからな。」
「本当に魔力がないんだね。そうか···魔力がないから、起動式が発動せずに消失するのか。これはおもしろいな···。」
カリスは顎に手をやり、ぶつぶつと何かをつぶやきだした。
先ほどまで殺す気で魔法を放ってきたのに、良い気なものだ。
チャキ。
AMRー01のレーザーサイトが、カリスの眉間をとらえる。
「悪いが、お前の思考につきあっていられるほど暇じゃない。選択してくれ。」
「ん?···ああ、君についていったらおもしろそうだ。従属するよ。」
「いや···ついてこなくても良い。どこかで大人しくしていれば、干渉はしない。」
カリスは意味がわからないという顔をしている。
「君は釣った魚にエサをあげないのかい?」
「リリース専門だ。」
「むぅ···君と僕が組めば最強だと思うんだけど?」
あ~、めんどくさいコイツ。




