第二章 亜人の国 「魔王と亜神とエージェント⑰」
「理由は?」
ティーファを謝罪に向かわせたのがミンだとすると、目的がわからない。
これまでのミンの言動を考えると、1人の少女に不幸を背負わせるような真似はしない気がする。
少なくとも、ティーファを犠牲にしなければならないほど、俺が怒っていないことはわかっているはずだと思う。
むしろ、集落の者達の俺に対する感情を逆撫でしてしまうだろう。
「タイガが魔王にふさわしいかどうか、ミーキュアに見せたかった。」
ミーキュアに?
なぜ?
「何か含むところがあるのか?」
そこで、ミーキュアが「ふぅ」と息を吐いた。
「ミンは、あなたが信頼できるがどうか、私に見せたかったのよ。」
「危なくないか?もし、俺がティーファに欲望をぶつけるような奴だったら、どうするつもりだったんだ?」
「それはない。」
「どうしてわかる?」
クスッと笑って、ミンが答える。
「これまでに、ミーキュアの胸を見ようともしなかった。タイガは貧乳には興味がない。ティーファも同じ。」
おい···。
「ちょっ!?ミン、何てことを言うのよ!!」
「ミーキュアの胸はそうでしょ?」
「う···じゃ、じゃあ、ミンはどうなのよ!?見た感じ、そんなにないじゃない!」
「私は脱いだらスゴい。」
ふふ~んといった感じでミンが胸を張った。
そうか、脱いだらスゴいのか···。
「あなたも何を見比べてるのよ!?」
「え···いや···がんばれ。」
「ぐ···微妙にヒドイんですけどっ!」
「ミーキュア。」
「何よっ!?」
「ミーキュアは魅力的な女性だと思うぞ。胸がなくても大丈夫だ。」
「う···誉めているのか、けなしているのか、どっちよ!?」
「誉めてるに決まってるだろ。」
「···················。」
ミーキュアは、顔を真っ赤にして押し黙ってしまった。
「···さすがは天然ジゴロ。」
ミン···そのツッコミはやめてくれ。




