56話 閑話 ~歓迎会④~
「そ···そうなんだ。」
「うん。パティって呼んで。」
確かに目元は似ている気がする。リルの方がもう少し切れ長だが。
「姉妹揃って美人だな。」
そんな感想をもらすと急に顔を真っ赤にして
「バカっ!」
と背中をどつかれた。
痛い、痛いぞ。
「あ、ごめん。美人なんて言われたことないから···。」
ゴニョゴニョと小さな声で謝ってる。
照れてるのか···。
防具屋では他に革手袋と鋼糸を編み込んだというベストとコート、それに山歩き用のブーツを買った。
「細身なのにそんな重たいのを着込んでも動けるんだ。」
「うん。力だけはあるからね。」
常人の10倍の力があるとはさすがに言えない。
歓迎会まで微妙に時間があったのでパティとカフェに入った。
アップルパイとコーヒーを頼む。
「甘いのが好きなの?」
「うん。美味しいから。」
パティは不思議な目で見ている。
「男の人ってあんまり甘いのを食べないから不思議な感じ。」
パティはイチゴのパフェを美味しそうに食べている。
「そうかな?食べたくても恥ずかしがってガマンしてるんじゃないか?」
「そうなの?」
「男は見栄っ張りだからね。」
「ふーん、そうなんだぁ」と返事をしてまたニッコリと笑った。
話を聞いているとパティは近接戦闘が得意らしい。だから防具屋にもよく行くのだそうだ。
「店員なみに陳列場所を把握してたから驚いたよ。」
「私は魔導学院を卒業したんだけど、お姉ちゃんみたいに上級魔法は得意じゃないから。身体能力強化とか回復系は得意なんだけどね。」
「ラルフよりも実力は上?」
「うん、それは比べられたくない対象かな。」
ラルフ···パーティーから外れてくれ。




