第二章 亜人の国 「エージェントの二つ名⑦」
「···や、やっと半分か···もう良いのではないか?こやつがロクデナシだと、十分にわかったことだし。」
ブレドが言うように、もう十分だと思われた。
羞恥心で身悶えしそうだ。
ただ、上辺だけを判断して、ロクデナシ扱いはないだろうに。
「そうしたいところだけど···ベントが強く主張しているのよ。彼の本質は、後半にあるって。」
上位精霊は、俺を悶え死にさせたいのだろうか。
「ミーキュア、続けて。」
ミンが強い眼差しでミーキュアを促した。
「わかったわよ。はあ、こんな2つ名鑑定、最初で最後よ···絶対。」
ミーキュアがため息をつきながら、羊皮紙に書き出す手を、再び動かした。
「···"魔物無双"。これって···。」
「···貴様、これまでに、どのくらいの魔物を屠った?」
「さあな、1000体くらいじゃないか?」
「何年かかった?」
「2~3ヶ月くらいだ。」
「ぬぅ···ま···まあ、魔物もいろいろだからな。」
ブレドは、俺を大して強くないと思いたいようだ。
「そうだな。」
「···ミーキュア、次だ。」
「···"融合魔法の先駆者"。」
「なっ!?貴様は魔法が使えないのではないのか!?」
「···なあ、まだ先があるんだろう?いちいちツッコンでいたら、いつまでも終わらないぞ。」
いい加減に面倒になってきた。
「ぐ···ぬ···だが···。」
「後で、必要であるなら質問をすれば良い。答えられることばかりではないがな。」
「ぬぅ···。」
「ブレド、彼の言う通りよ。これ以上、時間をかけても仕方がない。まずは、すべてを列挙させて、それから考えましょう。」
ミンが生産的な意見を述べた。
一番冷静なのは、やはり彼女のようだ。




