第二章 亜人の国 「襲撃⑥」
襲撃者?の包囲網を抜け出したタイガは、巧みに身を隠しながら相手の様子をうかがっていた。
もちろん真っ裸だ。
襲撃者?は全部で7名。
すべて10代とおぼしき女性達だが、普通の人とは違う特徴を持っていた。
ケモみみ?
尻尾?
もしかして、獣人か?
この世界に来てからも、獣人に遭遇をしたのは、これが初めてである。シニタ界隈では見かけなかったが、エルフがいるのだから存在していてもおかしくはない。
動きは訓練されたもので無駄がないと言えたが、たまに犬や猫に類した仕草をする。狼のような耳や虎柄の尻尾があるが、肉食獣特有の獰猛さや、鋭敏な察知能力は感じられないので、やはり犬人族や猫人族的な人種なのだと思う。正直、かわいいし、見ていて飽きない。
あの場から離脱をするために、ある意味で捨て身の力業を行使した。
複数の相手を欺く場合、かなりのインパクトを与える必要があった。結果として、あのような目立つことをしてしまったが、彼女達は何を感じただろうか。気持ち的には、中学生や高校生に対してストリーキングをやってしまったような背徳感が残る。
いや···あれが、最善の策であったと思うことにしよう。
これで、彼女達が一度引き上げてくれれば良いのだが···。
む···破龍などの所持品が回収されてしまった。
あれは渡すわけにはいかないのだが···なっ!?俺の服を焚き火に放り込みやがった!
ちょっ!?
それはダメだ!
やめろっ!
木の枝で拾い上げたのは、俺のパンツだっ!!
あっ!?
なんてことをっ!
パンツまで···。
······························。
おのれ、獣人!
お前たちに情けはないのかっ!
くっ!
着る服がねえ!
これでは、俺はジャングルの王者じゃねぇか!!
いや、奴なら腰巻きくらいはしている。
あ~!
服の上に、さらに枯れ枝を増量かよっ!?
火がっ!
勢い良く燃えた~っ!!
·····························。
容赦ねぇ···。
涙が出そうだ···。




