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511話 堕ちた英雄 vs エージェント④

幼少の頃から過酷な環境に追い込まれた。


一族の同世代でふるいにかけられるような試練が強要され、力なきものは消えていく。


それにかろうじて生き残ったが、エージェントの世界に入った後も、同様の環境に身を置くこととなる。


力があるものは、より生還率の低い任務を担わなければならないのだ。


そういった環境の中で、タイガは生存本能を研ぎ澄まし、無意識に存在意義を見出していた。


善悪の基準は、闘いの最中には麻痺する。


誰かを助けたいと思うのであれば、まずは自分が生き残ることに拘わらなければならない。


そこで手段を選ぶことは、死の可能性を高めることに他ならない。


相手が信頼できるか否かは直感で見極める。


敵ならば容赦はせず、チャンスは必ず逃さない。


人しての威厳や尊厳で物事を捉えることはナンセンスだ。タイガが生きてきた世界は、弱肉強食とは反する。弱きを挫き、殺戮を繰り返すのではない。


適者生存。


世の安寧をもたらすためには、強者ばかりが蔓延る世界であってはならない。


真のエージェントとは、ジャイアントキリング(番狂わせ)を起こし、世界のバランスをコントロールする存在でなければならない。


タイガには、絶対的な強者である意識はなかった。故に手段を選ばない。


何者にも独裁を許さないための防壁=エージェントなのだから。




グシャ!


再び、テトリアの硬化魔法がスラッグ弾を防いだ。


「グワッ!?」


だが、テトリアは激痛により視界を奪われていた。


通常のスラッグ弾では、テトリアの硬化魔法は撃ち破れない。だからこそ、時間を稼ぎ油断を誘った。


木製の弾頭が被弾した瞬間に弾け、中の粉末をばらまく特殊弾。


名付けて、DBC弾。


ドラゴンズ·ブレス·チリ弾だ。


因みに、元の世界ではドラゴンズ·ブレス·チリは世界第2位で、最辛はペッパーXである。さらに、この世界には上記の二種が見あたらなかったため、中身は辛さ世界3位のキャロライナ·リーパーの粉末で代用している。


ファンタジーな世界だから、タイガ的にドラゴンというキーワードを入れたかった。虚偽表示ではない···と思いたい。


「ぐっ···くっ···。」


フルプレートの兜をつけたテトリアの表情は読めないが、苦悶している。


硬化魔法は、大気中の元素を集束させて硬化させたものだ。


鍛造金属ほどの気密性はない。


DBC弾に仕込んだチリパウダーは、フルプレートを纏った上位魔族と対峙した時を想定して作成している。鎧のわずかな隙間にパウダーが入り込むように、きめ細かな粉末に仕上げているのだ。


今回の実戦使用で、硬化魔法に対しても有効性が高いことが証明された。


ぶっつけ本番だが、結果オーライで何よりだ。






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