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50話 異世界生活の始まり⑰

次は家具屋と生活用品なのだが、フェリとリルは貴族だ。


何が言いたいかと言うと、一般的な家具屋がどこにあるのか知らないらしい。


貴族には御用達の業者がいて、


「こう言ったものが欲しい。」


という依頼を出すと希望にそったものを買い付け、あるいは製作してくれるのが通例となっている。


「あまり高価な家具はいらないからギルドで聞いてみようか。」


俺の提案に二人がうなずく。


スレイヤーは貴族よりも一般人出身が多い。


だいたい貴族は騎士などになることが多いので、アッシュ達の方が特殊と言えるのだ。


魔族の脅威からの防衛を辺境伯の子息が担っているのは世界的に見てもあまり事例がないらしい。




ギルドに行くとアッシュが声をかけてきた。


「よう。」


相変わらず気さくな笑顔だ。


「よう。」


社交辞令で同じ挨拶をした。


周囲の者達はギルマスに対して無礼な挨拶をする俺を見てひそひそと話をしている。


「あれ···昨日のやつだよな?」


「今日はちゃんとした頭をしてるぞ。」


「ギルマスにタメ口とかすげぇ···。」


「イケメン」とか「カッコいい」って感想はないのか?




「今日は街の案内じゃなかったのか?」


「そうなんだけど、タイガの住むところが決まったから家具を買いに行きたいと思って···誰か良いお店知らないかな?」


「なるほど」というような表情をしたアッシュがカフェの方を見て、


「確か、カフェのウェイトレスの実家が家具を製作販売してたんじゃないかな。聞いてみたらどうだ?」


「そうなんだ。ありがとう、兄さん。」


リルもこの兄妹もギルバート家の人間は本当に面倒見が良い。


それなのに···なぜおまえはそうなんだ···と昼間から待合スペースのソファでグロッキーなラルフをみつけてジト目で見た。


二日酔いだろう···そのまま永眠していいぞ。




フェリがウェイトレスに話を聞きに行ってくれている間にアッシュが昨日の魔族のことについて話をしてきた。


「あの地域に調査メンバーを向かわせた。他にも魔族や魔物がいる可能性は低いかもしれないが、万一の時はまた力を貸してくれ。」


「ああ、かまわない。スレイヤーとしての任務ならいつでも言ってくれ。」


「助かる。ところでタイガの歓迎会をやろうと思ってるんだが、今夜は空いてるか?」


歓迎会か。


エージェントの世界ではそんなものはなかったな。


組織内でも個々の存在は必要最低限のメンバーにしか知らされていないし、対外的には歓迎されるような存在じゃないしな。


「うれしいけど、先約があるんだ。」


「先約?デートか?」


なぜかリルを見た。


「違うわ···実はね。」


リルは俺に話をしても良いか目線で確認を入れてきた。今後のこともあるので対応策を相談したいのだろう。貸金業者についての説明はリルに任せて補足だけをすることにした。


しかし···なぜアッシュは「デート」の言葉のあとにリルを見た?


ちょっと気になるぞ。







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