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496話 天剣と呼ばれた男⑤

叙爵式のために、シニタ中立領に向かった。


同行者は、リル、パティ、フェリ、マリア、シェリルの5人だ。アッシュは上位魔族への警戒と、事務処理がまたもや溜まりつつあるので同行許可が(嫁から)おりなかった。もう、アッシュの嫁がギルマスで良いんじゃないか?と思ってしまう。どう考えても、スレイヤーギルドの影の支配者は彼女だろう。


因みに、同行者の選抜は挙手制だったそうだ。定員が5名だったので、よくわからないが争奪戦が勃発したらしい。それぞれにパーティを組んで、模擬戦をリーグ形式で行ったとか。叙爵式にそんなに参列したいのだろうか?俺は憂鬱でしかないが。


と言うわけで、今はフェリが操る馬車でシニタに向かっているのだが、なぜかみんながベタベタとかまってくるので、ベイブに製作をしてもらった最後の銃器を組み上げることで一線を引いていた。


彼女達が寄り添ってくる事が嫌な訳ではない。だが、煩悩を抑えるということが続くのは、精神的にかなり辛いのだ。何度、俺の分身が今だ今だと勃ち上がろうとしたことか。


おそらく、いつもフラフラとしているギルマス補佐を制御しておくために、彼女達はこんなに近い距離にいるのだろう···そう、まるでアッシュとその嫁のように···って、マジか!?


正面にいるリルを見る···目が合うと、「ん?」と暖かいまなざしで見られる。


すぐ横に目を移すと、パティと目が合い、ニコッと明るい笑顔を見せてくる。


右を見るとマリアが、左を見るとシェリルが、「どうしたの?」という表情で見返してくる。


俺は恐ろしい考えに至ってしまった···この世界で、ことあるごとに妻を娶らせようとする国の重鎮達···それは、それとなく嫁の尻に敷かれて目に見えない楔を打ち付ける行為、世の男に枷をつける行為なのではないかと。


そう言えば、元の世界では「結婚は人生の墓場」なんて言葉もあった。


「どしたの?タイガ、顔が真っ青だよ。」


パティが心配そうに覗きこんできた。


「馬車に酔ったのかな?大丈夫、私が酔いを治してあげるから。」


そう言ったリルが、俺の頭を抱きしめて、頭を優しく撫でだした。


「ちょっ、ちょっとリル!抜けがけはダメだからねっ!!」


「次、私がする。」


「あ···じゃ、じゃあ私がその次!」


ひぃぃぃぃぃっ。


代わる代わる抱きしめられながら、勝手な思考で女性不信に陥りかけたタイガであった。


そして、御者役のフェリが、


「ちょっとぉ!あなたたち、タイガに何をしてるのよぉぉぉっ!!」


と叫んだ。










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