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487話 エージェントは日常に戻る⑮

街でのことは気がかりだったが、堕神シュテインを見失った以上、何ができるというわけでもない。


俺はそのまま王城に向かい、衛兵の詰所を訪れた。


ターナー卿からの通達があったようで、衛兵達はすぐに本人確認を取った上で上官を呼び、ほとんど待たされることもなく城内に入った。


突然の来訪とはなるが、国の重鎮達との定例会があり、国王も大公も城内にいるらしい。暇なのかと思ったのだが、ちゃんと職務を果たしているようだ。





「久しいな、タイガ。髪を切り、ずいぶんと精悍さが増したようだ。」


「陛下も、ご健勝そうで何よりです。その節はいろいろとご迷惑をおかけしました。」


「いやいや、こちらの方こそ申し訳ないことをした。そなたにあらぬ嫌疑をかけることとなった。ふたを開けてみれば、実は希代の英雄テトリア様だったとはな···なぜ正直に申さなかったのだ?」


「それについては肯定をしかねます。前世のことなど、自身にもわかりかねることですので。」


「そうか···だが、他国やシニタでの武勇はバリエから聞いておる。真偽は明らかだと思うがな。」


他はともかく、フレトニアの一件では転移術を利用した。これが状況証拠として、より事の信憑性を高めているのだろう。だが、自身に思い当たることはなく、神アトレイクですら、テトリアの転生者かどうかはわからないと言っているのだ。


「まあ、良い。それよりも、教皇から式典の誘いが来ておるぞ。」


否定を続ける俺に、それ以上の追求はせず、国王は気になることを伝えてきた。


「式典···ですか?」


「そうだ。天剣爵位の叙爵式だ。」


どうやら教皇であるビルシュが、「テトリア様の転生者が、1人のスレイヤーとして一国に囲われているのは、教会だけではなく、世界に対する確執を生む。公の存在として天剣爵位を叙爵した上で、拠点を本人の意思で決めてもらうべきだ。」と主張し、少し強引に式典の開催を決めたらしい。


テトリアは、神アトレイクの使徒と考えられている。さらに、希代の英雄だ。一国がその力を独占しているような印象が広がれば、その国は孤立するのが目に見えている。だから、天剣爵位を受けて公の存在とした上で、本人が拠り所を選択する体裁は必要だと言うことだ。


ビルシュの主張は理にかなっていた。


もちろん、俺が本物かどうかは別として。


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