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482話 エージェントは日常に戻る⑩

試射は滞りなく終わった。


32本の弾薬を使い切った頃には、アンジェリカがさすがに疲弊をしていた。


なにせ、弾薬が何度も破裂し、その度にゴーレムを作り直すはめになったのだ。加えて、最大火力で実包をつくるために、ゴーレムを俺の体重と同等に調整してもらっていたのだが、細かい微調整を入れて生成することは大きな負担となるらしい。


後からその事を聞き、額に汗を浮かべたアンジェリカを労うと、「タイガさんのお願いですから、問題はありません。」と笑顔を見せてくれた。さすがに申し訳ないので夕食をご馳走したのだが、なぜか他の女性陣の分までおごらされた···。




弾薬に最適な魔石の検証が済んだところで、次は実包の量産と、銃器の製作に移行しなければならない。


簡易な試射器や弾薬とは違い、今回は製図を作成する。この世界にはCADどころか、パソコンすらないので手書きだ。


ドラフターがあれば製図も比較的楽に作成できるのだが、あいにくそんなものはなかった。建築設計に使う平行定規もどきがあったので、それを購入して羊皮紙に書く。


記憶の中にある寸法、各パーツとの兼ね合いを思い出しながら作業に没頭する。木で模型を作り、細かい部分に相違がないかを確認しながら、5日間を費やしてようやく完成させた。


あまりにも部屋に籠って姿を見せない俺を心配したフェリやリルが、時折差し入れを持って来てくれたが、作業に集中をしすぎてほとんど会話すらしていない。申し訳なさは当然あり、謝罪だけはしておいたが、それほど悪いようには考えていないようだった。




弾薬に関して、前の世界と同じ仕様と言うわけにはいかなかった。


従来、弾薬を起爆する雷管には、ジアゾジニトロフェノールという化学物質が入れられている。製法は知っているが、それなりの設備と、化合する数種類の化学物質が必要となるし、こんなものをこちらの世界で大量生産するわけにもいかなかった。


薬莢内の火薬に着火させるだけと思えば大したことはないと感じるが、爆発物であることにはかわりはない。保管状況が悪かったり、何らかの衝撃で爆発事故が起こり、街の一部を吹き飛ばすという事態は避けたい。


だから、火薬の代わりに魔石粉、雷管には起爆用の魔石を使用することにしたのだ。


因みに、弾薬の構造は試射で使用したものに近いシンプルなものだ。こちらの世界で手に入る素材、量産できる構造を考えると、自然とそういったものになる。


そうして、二種類の銃器と弾薬の製図を完成させた俺は、その製作と量産を請け負ってくれる業者の元に向かった。




マニアックすぎてすいませんm(_ _)m

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