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481話 エージェントは日常に戻る⑨

ドンッ!


重低音が響き、空気が振動した。


「な···何あれ!?」


「自爆···装置?」


「ええーっ!?」


アンジェリカの操るゴーレムで試射を開始したが、一発目でいきなり失敗をした。試射器が爆発し、ゴーレムの両腕を肘の辺りまで四散させたのだ。


「魔石の威力が強すぎたか···。」


試射器は、竹で作った水鉄砲のような形をしている。弾薬よりもわずかに大きい鋼管に薬莢を詰め、撃針代わりの棒で雷管を突いて発射(雷管が衝撃で変形することで、中の魔石が魔石粉を起爆する仕組み。)させる。シンプルな構造のために検証がしやすいのが特徴だ。


魔石は似たような性質のものを4種類チョイスして、検証用の弾薬を作っておいた。今のは魔石粉の量を大幅に減らさなければ、まともには使えないと考えて良いだろう。


弾薬は、ストックも含めて常時数百発は準備をしておきたい。面倒な加工をしなくても、そのまま使える魔石粉を選ぶための検証でもあるのだ。


「ごめん、アンジェリカ。今のは失敗だ。もう一度頼む。」


「はい。」


ギルドのカフェでいろいろとあったが、アンジェリカは非常に協力的だった。


他の者達も今は好奇心に眼を輝かせながら、検証を見守っている。


あの後、場が混沌としてセクハラ疑惑まで浮上したので、思いきって目的を説明した。


「新たな武具の開発のために、ゴーレムを使って実験をしたい。」


そう話した。


「それ以上強くなって、何を目指すつもり?」


そんな質問がマルモアの口から出たので、「本当のピンチの時にみんなを守り抜きたい。」と答えたのだが、それがギルド内に感動の嵐を呼んでしまった。


涙ぐむ奴、「さすがギルマス補佐!」と称賛する奴など、反応は様々だったが、つい先ほど「セクハラ野郎!」と叫んでいた奴が、180度態度を変えてきたのを俺は見落としてはいない。まぁ、イラっとはしたが、さすがにお仕置きなどはしていないが。


「今のって、魔法の爆発よね?どうやったの?」


フェリが純粋な質問をしてきたので、簡単に説明をする。


「···すごい。よくそんなことを思いつくわね。」


「普通に魔法を放つ方が手間が少ないから、こんなのを使うのは俺くらいだけどな。」


そうだ。


この弾薬や、これから作る銃器は、この世界では必要とはされていないものだ。時間やコストをかけて開発や製作をしたところで、魔法が使える者が所持する意味合いはほとんどない。せいぜい、魔力が枯渇した時の緊急避難用にしかならないからだ。


だが、俺が所持をする意味は大きい。魔法が使えないことで、手も足も出ない状況を打破できる。


弾幕を張って敵を足止めする。


近距離から敵の陣形に穴をあける。


中遠距離からダメージを与える。


などなど。


1つの銃器でも、戦術の幅はかなり広がる。攻撃だけではなく、味方を援護したり、逃がすための手法を新たに手入れるのと同意義なのだ。










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