477話 エージェントは日常に戻る⑤
午前中にスレイヤー達の修練進捗を確認した。ほとんどの者が他属性との融合魔法を実用化するに至っている。
魔法の融合は、それぞれの相性も大きく影響をするが、それを見越してチームアップをしたことにより、武具による連携攻撃や、呼吸を合わせた攻防一体の戦闘も研鑽された結果となっていた。
シスとテスの双子など、個々の力はまだまだと言えたが、連携時の強さはランクBのチームを圧倒するほどだ。この2人とチームを組むパティとバーネットに加え、ケリーとセイル、その護衛役であるアンジェリカとイングリット、リルとフェリ、そしてテレジアまでの総合力を考えると、俺を加えることなく、ギルド内最強と言えた。因みに顔面偏差値も同様だ。
他のチームの者達も、それぞれの課題に真摯に取り組み、レベルアップが垣間見えている。
これなら、もし俺がいなくなったとしても、過度な戦力が相手でなければ対抗できるだろう。
ギルドを後にした俺は、王立魔導学院の図書館を訪れた。
スレイヤー達のレベルアップは順調だが、俺自身の力も向上させなければならない。
魔法が使えない俺にとって、中遠距離と閉鎖空間での戦闘は、課題が山積みだと言える。そして、乱戦になった際に複数の敵を倒せる術が必要だった。
風撃斬には溜めがいる。
近接戦で囲まれた場合、ダメージを負わずに状況を打開する為には、タイムラグのない術を持たなければならない。
ギルドの者達は融合魔法を修得したことにより、通常の魔族となら対等以上に渡り合える可能性が高まった。だが、それはチームで対峙した場合に限る。さらに上位魔族が相手だった場合、生存率を少しでも高める作用はあるが、倒すためには多大な犠牲(全滅も含めて)を覚悟して挑まなければならないだろう。
上位魔族がそれなりの戦力を携えて侵攻してきた場合、俺が単独先攻し、後方からスレイヤー達の魔法による一斉攻撃を行う。それが、現状で考えられる最良の手段だ。(当然、アッシュやミシェルのように、やたらと威力の高い魔法を多用する奴等は教育が必要ではあるが···。)
しかし、特攻をしかけた俺が、剣や体術に長けた上位魔族複数体に迎撃された場合、この策は愚策となる。
それを打開できる武具。
そのヒントを、多くの文献が並ぶこの図書館から探し出すのが今回の目的だった。




