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461話 エージェントは、相棒と共に無双する⑨

峡谷の入口が見えてきた。


高さ約10mの岩壁が両脇に聳え立ち、風なのか水なのかはわからないが、自然の力が長い年月をかけて形成した地形を思わせる。


およそ4m幅の通路は数十メートル続き、そこを抜けると途端に10倍以上に広がっていた。


現場に居残ったスレイヤーや騎士達は、間口が広がる手前で障壁を作り、その後方から魔法を放って耐えている。


全員が満身創痍。


「先に行く。」


アッシュにそう告げたタイガは、右方の壁を目掛けて地面を蹴った。


助走がついていたとは言え、3m程の高さにまで跳び上がったタイガを、後方から追いかける他のスレイヤーや騎士達が視界に入れて驚愕する。


再び岩壁を蹴って、跳躍したタイガは三角蹴りの要領で5m以上の高さにまで到達し、張られていた魔法障壁を難なく飛び越えた。


そして、続くアッシュも跳躍する。


こちらは硬化魔法で空中に足場を作り、階段を数段とばしで駆け上がるように高さを稼いでいく。


後続の者達は、アッシュの行動にさらに驚愕し、その動きを眼で追った。


この世界では、一部精霊の恩恵によるもの以外に、飛行魔法など存在しない。しかし、アッシュが見せた動きは、まるで自由に宙を駆けるような、飛行魔法と見紛うような動きに映ったのだ。


魔法とは、発想によって進化するものである。アッシュが使ったのは、飛行魔法などとは程遠い硬化魔法の応用である。しかし、そもそもが、硬化魔法をそんなふうに使う者など皆無と言えた。


長い歴史によって、魔法技術は完成度の高いものに到達した。その反面、新たな魔法の開発や、その活用術には、目を向ける者が少なくなったと言える。進化させることよりも、既存の技術の修得が目的となってしまったのだ。


アッシュは、そういった既成概念を良しとはしなかった。戦闘後に感じる「たられば」を、実際に実現するにはどうすれば良いのかを、常に創意工夫の中から見出だして取り込んでいた。


それが、今日の世界最強と呼ばれるスレイヤーを育んだと言っても、過言ではなかった。




一足先に宙から敵地に降り立とうとするタイガに、着地点近くにいたミノちゃんが手に持ったバトルアックスを構えた。


さながら、野球のバッターのようなフォームでタイミングをはかるミノちゃんの姿に、壁役のスレイヤーや騎士達が中空のタイガに目を向ける。


無謀な特攻としか思えない行動に、ハゲの命は風前の灯と誰もが認識した。後方にいるクレイマンに至っては、ざまぁなどとこの場ではすべきではない表情をしている。


しかし、ハゲは落下しながら右手で細い剣を抜き、眼で見えない速度でそれを振った。


剣圧による一撃。


風撃斬。












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