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45話 異世界生活の始まり⑫

名の通った鍛治師だからかニーナは刀を知っていた。


それにしても体や手を見ただけで刀を扱えることがわかるのがすごい。


「ニーナわかるの?」


リルが代わりに質問をしてくれた。


「まあね。刀は剣と違って扱いが難しいから。重心のかけ方とか筋肉のつきかた、手のひらの状態なんかである程度は推察できるんだ。ただ、タイガの場合はいろんな武器を使いこなすみたいだから少し判断に時間がかかったけど···左手にある古い傷が決定打かな。」


素直にすごいと思った。


刀は外側に反っている。

帯剣する時は抜きやすいように刃を上に向けるので扱いが未熟なうちは鞘に納める時に手に独特な傷を負うのだ。

ニーナは幼少の頃につけた俺の傷跡を見て確信したのだろう。


本当に信頼のできる鍛治師のようだ。


「それと、私の体をジロジロ見ずに視線を外してくれてたから人間としても信用できるかなって。」


あぶねぇ。

フェリよ、視線をくれてありがとう。


「私は信用できそうな人にしか武器は売らないようにしてるんだ。うちから提供した武器で嫌な事件とか起こされたくないから。」


本当に信用して良いようだ。

鍛治師としても人間としても。


むしろ俺の方がヤバかった···。


「ニーナさん、刀は取り扱ってるのかな?」


俺の質問にニカッと笑ったニーナは


「ニーナで良いよ。ちゃんと使いこなせるのなら見せてあげる。」


そう答えたのだった。




売り場ではなく保管庫に向かっていた。


「刀は鍛治師の腕を極限にまで高める打刃物なの。このあたりでは剣が主流だけど、最近は型にはめて作るだけの大量生産品になりさがってるわ。」


「鋳造か···もろい剣しかできないだろうな···。」


俺のつぶやきにニーナは眼を見開いた。


「詳しいね。もしかして刀鍛治の経験があるとか?」


「さすがに刀鍛治の経験はないよ。あれは刀匠と言われるレベルに達するのに最低でも5年はかかる。満足のいく鍛造ができるまででも相当な努力が必要だろうし。」


「そうそう。鉄を鍛えに鍛えて最高の強度にするまでが大変なんだ。タイガはわかってるよね!」


ニーナはおもちゃをもらった子供のような表情で俺の背中をバシッと叩いた。


なんだろう···刀マニアか?

無意識にニーナの何かの扉を開いてしまった気がする。


「タイガのこと気に入っちゃった!とっておきのを見せてあげるよ。」


そう言って俺の手を取り、奥の方にズンズン進んで行った。


後ろではフェリとリルが目線を交わし、


「なぜこうなった!?」


と話していた。





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