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451話 天剣爵位⑬

「確かに···視野を広げてみると、タイガ殿が天剣としての立場を明瞭にすれば、国や立場に関係なく救済される人々は増えるでしょう。しかし、天剣爵位とは名誉爵位。騎士爵と変わらず、日々の糧をそれほど得られるものではありません。」


バリエ卿が苦り切った表情で苦言を放った。


「確かに···スレイヤーであれば、魔族や魔物の討伐で報酬を得ることはできましょうが···天剣として、各国を渡り歩くとなると···。」


大司教代理も、聖職とは言え職務に従事をして日々の糧を得ている。バリエ卿の言葉に同様の危惧を抱いたようだ。


俺自身に関しては、既に多額の報酬を得ており、その辺りはどうでも良いと思っていた。ただ、なぜ本人を無視して、天剣とやらになる話になってきているのかが、いささか疑問ではある。


「我が国での行いに関しては、これまで通りの条件···いや、それ以上とならないかを王城に進言するつもりです。ただ、他国に関しては···。」


そう話すバリエ卿の表情は微妙だった。危惧をしていると言うより、他国に牽制をしていると見てとれるのは、俺だけではないのじゃなかろうか。


「なるほど。バリエ卿は、あくまでもタイガ様を他国に流出させたくないと、そうお考えなのですね。」


サーラがストレートに問い質した。


「いや···そう言う訳ではなく···。」


「確かに、おっしゃる意味は理解ができます。タイガ様に、世の安寧を委ねると言うことは、それだけ過酷な日々を強いること。見返りも相応になくては、精神が持たないでしょう。」


どんどん話が嫌な方向に持っていかれる。遂には、守銭奴とも取られかねない俗な存在にされたか。


「私も進言致します。我が国の陛下なら、貴国以上の成果報酬を準備するように英断されるはずですわ。」


「おいおい、それはうちも同じだぜ。何せ、先日の件を報告したら、王城に招くようにとテスラ王から、お達しがあったからな。」


黙りを決め込むイジイベラ伯爵を差し置いて、ディセンバー卿までが参戦をしてきた。


部屋の雰囲気は混沌としている。


そろそろ、身勝手な討論は終了をさせた方が良さそうだ。


「お取り込み中に申し訳ないが、貴殿方はどこで何と私を闘わせようとしているのでしょうか?」


「「「え?」」」


「魔族が攻勢をかけてきたからと報告を受けても、それぞれの国に向かうにはそれなりの準備と時間がかかると思いますが、それについてはどうお考えでしょうか?」


仮に、3国が接しているシニタにいたとしても、先日のような近場でもなければ、援軍として到着するのは、下手をすると数ヶ月先と言うことになる。飛行機でもあれば別だが、そんなものはこの世界には存在しない。


「それは···。」


「··················。」


サーラとディセンバー卿が絶句する中で、バリエ卿だけが微笑みを浮かべた。


「ふむ···やはりタイガ殿は、現状通りに我が国との縁を継続されるべきだな。既に知己もいることだし、それ以外の答えはないでしょう。」


さすがはバリエ卿。

自国の優位性を唱えるタイミングを逃さない。


そんな風に議論が結末を迎えそうになった時、ビルシュが当たり前のように、場を再燃させるような一言を放った。


「あれ?君は転移できるのじゃないの?」


は?


できねーよ。


「テトリアはできたよ。」


いやいや、魔法使えねーし。異世界転移も神アトレイクの仕業で、俺には···。


ん?





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