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416話 フラグ·クラッシャー⑧ ~Side サキナ~

体調に問題は無さそうだが、まだ意識が···いや、寝ているだけか。


硫黄泉のせいでも、湯あたりでもない。お湯の中で、うつ伏せで浮かんで寝るって、どんなに器用なんだと思いながらも、その間の抜けた部分に安心する。彼も普通の人間なんだと。


せっかくの機会だと思い、サキナはタイガを観察してみた。


スキンヘッドの頭が異様に赤い。

事情があって剃ったと言っていたが、最近のことのようだ。顔よりも少し色白な頭が、お風呂に入ったからか、一番真っ赤だった。


初めて顔をじっくりと見たが、それなりに整っている。普段は細めで切れ長の目が、厳つさをプラスしているが、笑うと人懐っこい顔になる。


目尻の下や頬に傷跡···紅潮しているからか、はっきりとわかる。顎や鼻にもあり、闘いに身を投じてきた証と思えた。首筋から胸にかけても同じような線傷や、窪んだような、何でできたかわからない傷が無数にある。


無駄のない体つき。着やせをするのか、思ったよりも筋肉が発達している。いわゆるマッチョではないが、強靭な鋼線を編んで、凝縮したかのような肉体。


その下は、お湯であまり見えないが···黒々とした影が···。


「う···。」


眉毛もあるし、元々が無毛ではないから当たり前か。でも、下も黒なんだと、照れながら思う。


あ···これでは、タイガのことを変態かもなんて言えないな。


そんなことを考えていると、天井から水滴が落ちて、タイガが声を出した。


「ん···。」


サキナは裸であることに思い当たり、タイガの横に移動した。




「私···まだ純潔だから。」


「え?」


雰囲気がそうさせたのか、サキナは思わず言ってしまった。恥ずかしい。


少し考えた素振りを見せたタイガは、こう言った。


「そっか。じゃあ、大事にしなきゃね。」




タイガは紳士だった。


もし、情欲にかられて押し倒してきたら、自分はどういった対応をしたのだろうか。


そのまま、従順に応えたのか。


平手打ちで返しただろうか。


それとも、魔法でお湯を凍らせて対抗しただろうか。


いずれにしても、タイガを試すようなことをしてしまい、少し自己嫌悪した。


でも、彼の反応を見て、はっきりとわかったことがある。


人間性も問題ない。


強くて、優しくて、おもしろい。

一緒にいて楽しいし、他の男性が霞んで見えるような存在。


出会ってまだ1日目だが、はっきりと自覚した。


私は、彼に惹かれていると。







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