表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
407/1622

406話 エージェントの遠征⑭

主導していた魔族が倒れたからか、サキナのイグニス·ファトゥスが効果的だったのか、もしくは、その両方なのかもしれない。魔物達は逃走を始めようとしていた。しかし、数が多いため、互いが邪魔となって、進行方向が定まらない。


タイガは、残った最後の小瓶を投げた。中身は当然、アサフェティダだ。小瓶は弧を描きながら、群れの最奥の方に落下。すぐに異臭が漂い、魔物が半狂乱になる。


風下に立っていたタイガの方角に、一斉に魔物が走ってきた。


距離は100メートル程。

地面に転がっていた手頃な石を拾い、低弾道で投げる。


先頭のキラーグリズリーの前足にヒットした。この程度では、キラーグリズリーを止めることはできないが、痛みによって減速したことで、後続の魔物達が折り重なるように衝突した。車と同じで、急には止まれない。


そこに、風撃無双を連発する。


完全に足を止めた先頭集団に、アサフェテイダの臭気から逃げ惑う後続が、さらに積み重なるように激突する。


疾走するタイガは、間合いに入った魔物を次々に斬り裂いていった。


行動不能に陥った魔物が壁となり、後続は別の方向に逃げ出そうと、体の向きを変える。


だが、同じことの繰り返しだ。

後続とぶつかり合い、狭い空間にひしめき合う魔物達。


そこに、テスラ兵が再び放撃を始めた。タイガが思い描いた通りに、動いてくれたようだ。指揮官はなかなか優秀なのだろう。


「そういえば、指揮官は金髪の女性だと聞いていたな。もしかして、さっきの···。」


シニタ中立領で聞いた情報だ。

この地域の指揮官は、サキナ·フォン·ディセンバーという辺境伯の娘だったはずだ。


『女性は一人だけだったようだが、そなたはその者に不埒な真似をしていたな。貴族の娘、しかも指揮官だ。後でややこしいことになるかもしれんぞ。』


神アトレイクの言っていることは正論だ。でも、その口調は面白がっていた。


「後でフォローしとく。」


本当は、魔物がある程度片付いたら、そのまま帰るつもりだった。「テトリア様!」とか言われて、群がれるのは嫌だからな。しかし、下手をすれば国際問題になる可能性もある。握力が~などと言っても、納得はしないだろうし。


『最悪の場合はどうするのだ?妻として娶るか?』


こいつ···完全に面白がってやがる。


「その場合は、テトリアの名を使う。」


『···最低だな、そなたは。』


「誉め言葉として、受け取っておく。」


そんな冗談··いや、タイガは本気だったが···を交わしながらも、魔物の討伐には手を緩めない。


襲いかかってきたオーガの攻撃を跳躍して避け、近くの木の幹を蹴って、三角蹴りの要領でカウンター攻撃。バスタードソードで頸椎を貫く。


地上に降り立ち、再び疾走。

魔物が散らないように、群れの外周を駆け抜けて、攻撃を加えていった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ