表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/1622

3話 出会い③

何とかズボンとインナーシャツを死守して身に付けていると、複数の気配を感じた。どうやらこちらに向かっているらしい。


騒がしくし過ぎたか。


さっきの地響きで何者かの興味を煽ってしまったようだ。


人間ならいいが、肉食動物やエイリアンという可能性もゼロとは言えない。俺は自分の近くに手頃な石が落ちているのを確認した。


しばらくして、木々が生い茂る方角からガサガサと草木を押し分ける音が聞こえてくる。


相手は三体。


気配を隠すような素振りはなく、一直線にこちらに向かってくる。


茶色の毛並みを持つ獣。


しかも、大型の狼のような体躯が視界に入ってきた。殺気に似たような雰囲気をまとっている。


こちらを獲物として見なしているのは間違いないだろう。


そう感じた俺は躊躇せずに近くの石を手にし、まだ草木に見え隠れする一体に投げつけた。


手を離れた石は超高速で狼の一体に命中。頭部が爆散した。


今はこの身体能力に感謝だな。


狼の敏捷性は森の生物の中でも群を抜く。草木が障害物となっている間に手早く終わらせるべきだろう。残りの二体も投石ですぐに沈黙させた。




一方、地響きを不審に感じて状況確認に出向いてきた者がいた。


プラチナブロンドの短い髪をした碧眼の男だ。


長身でがっしりとした体格をしているが、柔らかい表情と緩い雰囲気を醸し出している。彼は魔物専門の討伐を生業にしており、若いながらも高ランクの実力を持っていた。


『なんだ、あいつは?』


投石だけで三体の魔狼を屠った黒髪で長身の男。


見慣れない装いをしているが、身体能力がハンパではない。シャツから露出している肩や腕は、冒険者としては細身だが鍛え抜かれた体ということが見てとれる。


一見、スピードと体のキレで動くタイプに感じるが、先ほどの投石の破壊力は異常だった。魔法を使ったにしては魔力も感じない。


おもしろそうな奴だ。


バトルマニアの傾向があるこの男は、普段は魔物の討伐をメインとするスレイヤーという立場にいる。


魔物は人間よりもはるかに強靭な体を持ち、相対するのはなかなかに面白い。しかし、対人戦では頭脳による化かしあいや技術による攻防などもあり、魔物とは違った戦闘が楽しめたりもする。


模擬戦でもしてみたい相手だなと勝手に考えていると、ふと視線に気がついた。黒髪の男がこちらをジーッと見ていたのだ。


『えっ、マジかよ。』


男は巧妙に気配を消している。


さらに、向こうからは姿が見えないよう木陰に身を隠しており、距離もかなり離れていたのだった。




タイガは視線に気がついていた。


探るような気配。


おそらく、獣以外の何かだ。


人間だったらいいが、見た目が気持ち悪くて粘液まみれのエイリアンとかは勘弁して欲しい。


とりあえず、微かな気配を感じる方向にジト目を送ってみた。


動きはない。


ひたすらにジト目を送る。


三分程経過した頃合だろうか、ようやく相手が動いた。


草木の狭間から見える姿は人間の男だった。


『エイリアンじゃなくて良かった。と言うか、人間がいて良かった。』


内心ホッとしながら、こちらに向かってくる男を観察する。


無駄のない動き、そして傾斜を下りているわりに体のブレが少ない。体幹がしっかりとしている証拠だ。


軽装ではあるが鎧のようなものを着け、帯剣をしている。戦いに従事する者の装いだと見てとれた。


やはり、俺がいた世界とは異なる。


自分が生きていた環境では、あのような格好は映画の撮影かコスプレイベントでしか見ることはないだろう。むしろ、あんな姿で普通に歩いていたら、その街の常識を疑ってしまう。


そんなことよりも、言葉は通じるのだろうか?







感想とかブクマとかしてもらえたら狂喜乱舞します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ