35話 異世界生活の始まり②
「フェリ、今日はもう遅いから街の案内よりもタイガの生活のための準備を手伝ってあげましょう。」
リルが提案をしてくれる。
時間はもう夕方だ。確かにその方が助かる。
「あ、そっか。そうだね、ごめん。」
「いや、気づかってくれてありがとう。」
「タイガは泊まる所が必要よね。あと、服も買わなきゃ。」
リルが仕切ってくれた。
優しいフェリとしっかり者のリル。異世界に飛ばされたとは言え、この出会いには感謝をしなきゃな。
2人ともかわいいし。
「まずは服かな。フォーマルも今後必要かもしれないけど、とりあえずはカジュアルね。」
そう言ってギルド近くのお店に連れて行ってくれた。
スレイヤーが着るような戦闘系のものはなく、若い人向けのセレクトショップのようだ。驚きなのはジーンズやTシャツなどもあり、元の世界のアパレルショップと比べてもあまり違和感がない。
適当に服を見ていると、リルとフェリが数着の服を持ってきた。
「これ、似合うと思うから試着してみて。」
男性の服を選ぶのが好きな女の子は多い。ただし、好感を持っている相手の場合に限るが。
異性としてはともかく、2人には悪いようには思われていないようだ。
俺は2人が選んだ服を試着して、サイズの合う物はすべて買うことにした。
この世界のトレンドなんかはわからないので任せた方が良い。それにせっかく選んでもらったので自分の好みに囚われずに着てみようと思ったのだ。
俺が自分たちが選んだ服を買ったことで二人ともうれしそうにしてくれた。
認定証を提示して会計を済ませる。ギルドと同じようにカウンターに水晶があったので同じようにかざすだけで済んだ。
インナーや靴を含めて合計12点の買い物。代金は4万ゴールドを少し上回るくらいだったので、やはり1ゴールド=1円換算くらいで良いのかもしれない。
価格価値が何となくわかればボッタクリにあう心配も少なくなる。
「じゃあ、あとは泊まるホテルね。何か希望はある?」
「それなりの設備が揃ったホテルが良いかな。」
「じゃあ、こっちね。」
少し歩いて瀟洒な建物に行く。
「ここは必要な設備が全部そろってるし、部屋も静かでくつろげると思うわ。少し高いけど、ゆっくり休めた方が良いと思うから。」
リルは的確に物事を進め、最良の提案をしてくれる。フェリも社会勉強といった感じで興味津々だ。
「わかった。いろいろとありがとう。」
礼を言うと
「フェリ、街の案内は明日にしようか?」
とリルがフェリに確認する。
「うん。タイガもそれで良いかな?」
「ああ、まかせるよ。」
そう言って2人と別れた。




