34話 異世界生活の始まり①
手続きが完了して認定証を受け取った。
埋め込まれた魔石はランクごとに色が異なるようだ。
ランクSの魔石は琥珀色をしていた。
「その魔石は光があたると黄金色に輝きます。最高等級であるランクSの象徴みたいなものなんですよ。このギルドで所持しているのはギルマスとタイガさんだけになります。お揃いですね。」
「·······················。」
いや····アッシュとお揃いと言われても別に嬉しくないぞ。
ニコッと笑われても反応に困る。
礼を言って席を立った。
口座取扱い専用カウンターに向かう。お金をおろしてとりあえず住むところと服を確保したい。
ボサボサの頭と汚れた衣服を着て歩き回るのもいい加減嫌だしな。
異世界とは言え、エージェントとしての威厳は保ちたい。
口座取扱い専用カウンターの前に着いた。
有人の切符売り場みたいな造りだ。
正面のカウンターの上に50センチ×15センチくらいのスリットがあり、その上部のガラスには会話用の穴が開いている。そしてカウンターの端には大きな水晶が置いてある。
ちょうどここを利用する人がいたので参考のために手続きのやり方を見せてもらった。水晶に認定証をかざすと魔法?により中の人間に口座のデータが開示されるようだ。
「10万頼む」
利用者である男性が担当者に金額を伝えて出金が行われた。
自動認証か。
魔法で構築された生活のためのシステムが何気にすごい。
俺はカウンターに近づき、水晶に認定証をかざした。
「10万ゴールドの出金ですね。こちらをどうぞ。」
無事にお金を引き出せた。
わからないことばかりでドキドキする。
さてどこに行こうか。
と考えているとフェリとリルが近くで待っていてくれた。
「タイガ、手続き終わったんだね。」
「うん。なんとか。」
「じゃあ、街を案内してあげる。」
フェリがかわいい笑顔で誘ってくれた。
助かるよ。




