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326話 エージェントvs魔人Ⅱ⑥

「ま···また相手を怒らせた。」


「て言うか、ヤバくない!?あの回復は何なのよ!」


「それより、タイガが悪い顔をしてるよ。次は何をやらかすんだろ。」


冒険者3人は、またそれぞれ好き勝手に話をしていた。


その後ろに控えていたバリエ卿は、ため息をつきながら視線をタイガと魔人に戻す。


『魔人は強い。普通に考えるなら、対等に闘える者など人間にはほとんどいないだろう。いや···それよりも、あのタイガという男だ。大公閣下が推しているだけのことはある。一見、卑劣な手段を使って勝利しているように見えるが、先の先を見越して様々な戦略や戦術を身につけている。あのスパイスをばら蒔くやつなど、普通では考えられない手法だが、風上を読んで、最も効率のよい効果を導いている。おそらく、有事に備えて周到な準備を日頃から行っているに違いない。大公閣下が、自らの血筋に加えたがるのは、交渉ごとにも無類の強さを発揮するであろう、あの論理的思考力や探求心に違いなかろう。』


2人が死闘を繰り広げる最中、バリエ卿の頭は、今後のことで頭をフル回転させていた。


『今回の件で、私はタイガ殿の身の潔白を主張できる。王都内で、素直に意見に耳を傾けてくれるのは、大公閣下の一派に限られるかもしれない。だが、盗賊団という第3者もいることだ。説得力が皆無というわけではあるまい。それに、彼は爵位を持つ身。潔白が証明されれば、その特権である一夫多妻が許される。そうすれば、我が娘を二番手でも、三番手でも構わないから嫁がせれば···。』


バリエ卿に大公閣下を出し抜こうという考えはない。しかし、同じ一派でも、その下のポジション争いは熾烈を極めた。実績のある逸材と身内になることは、貴族としての将来を考える上で効果的な策の一つに違いなかった。


「ね···ねぇ、あの大使さん···何かニヤニヤ笑って気持ち悪いのだけど···。」


「気が触れたのよ、きっと。」


「血を見るのが好きな変態なんだよ。」


ひそひそと話すが、言いたい放題である。


『君たち···全部聞こえているぞ···。』


バリエ卿は、行き場のない怒りと羞恥心に叫びたくなった。






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