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320話 依頼者タイガ·シオタ⑫

盗賊団の生き残りに尋問をしたが、あまり役立つ情報は得られなかった。


盗賊団は、強奪した金品や、さらった人間をすぐに換金し、足がつかないように各地を転々としていたらしい。他に残党がいるかと問いかけもしたが、裏切りや逃走者が出ないように、犯行を行うときは全員が実行犯として現地に赴くと言う。


言っている事が正しいとすれば、今回の戦闘で本当に壊滅したということになる。


ただ、一つ気になることを言い出した。


「今回の件は気乗りがしなかったんだ。相手は王族の遠縁にあたる貴族だって言うしよ···あんな大金を積まれなきゃ、引き受けなかった。」


「ああ···もともと俺達は、誰かの依頼を受けてなんかヤマをはらねぇからな。そんなものは捕まるリスクしかねぇ。」


いろいろと考えてはいる。では、引き受けた理由は金だけなのか?


「そんなに報酬が魅力的だったのか?」


「ああ。確かに額はすごかった。だけどよ、教会の関係者だってわかったからな。他の奴よりも信用ができた。」


「「「「!」」」」


バリエ卿と冒険者三人が驚愕しているのが気配でわかった。


「なぜ教会の関係者だとわかったんだ?」


「そりゃ、わかるさ。奴らは独特の言い回しをする。異端がどうとか、義がどうとか。普通の奴なら使わない言葉が端々に出るからな。」


教会の関係者とも、偽装とも取れる内容だ。


本物の場合、囮や罠である可能性は低いと言って良い。聖職者が、どこかの権力や組織に荷担をすることは教義に反するし、教会から厳しく処罰され、脱会の結末を迎える。クレアが教会を守るために、俺やスレイヤーギルドに救いを求めたこととは意義が違うのだ。ただ、私欲のために盗賊団を利用するという奴は、聖職者にいても不思議ではない。だからこそ、盗賊団にとって、普通の相手よりも信用ができたとも言える。


「依頼はどんな風に受けたんだ?」


「酒場で急に声をかけられたらしい。『あなた方に依頼がある』と、前置きなしだったそうだ。」


盗賊団であることを調べた上でのアプローチか。だとしたら、情報収集力もなかなかだ。


「その時に話を聞いた当事者は?」


「あんたがぶった斬ったから、もうあの世さ。その男と面識のある者は···もういないな。」


「今回の依頼が出された経緯はわからないのか?」


「詳しいことは知らねぇ。主の邪魔をする異端者を抹殺しろって言ってたようだ。」


正体がバレても構わないような物言いだ。後のことを考えると不自然な気がするが···。


「!」


その意味がすぐにわかった。

ソート·ジャッジメントが反応したのだ。


なるほど。


盗賊団も含めて、後始末は魔人に任せると言うことか。











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