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305話 依頼者ソウリュウ⑦

その後の交渉はスムーズだった。


ギルマスは不敬のお詫びにと、こちらの要望に最適な人材を準備すると言い、その上で、依頼報酬を無料にするとまで提案してきた。


さすがに無料というのは、今後のことを考えると危ない橋になる。素性がバレて、これ以上ややこしい噂を流されるのもごめんだった。


「報酬は規定通りお支払します。爵位を持つものが、ご好意とは言え、金銭的な取引きで、例外扱いされる訳にはいきませんから。」


そう言うと、ギルマスはそれ以上のゴリ押しはしてこなかった。爵位を持つ身で、金銭的な計らいをしてもらうということは、元の世界と同じく贈収賄罪にあたるのである。




冒険者ギルドを出て、近くのホテルにチェックインした。


シャワーを浴び、汗や埃を落として、体を解す。


スレイヤーギルドを出てからの数日間は、毎日2~3時間の仮眠だけで移動を続けてきた。手配をされている可能性も考えて、あまり街には立ち寄らなかったのだが、冒険者ギルドの様子を見る限り、特に何かの周知が回っている様子もない。今夜一晩、何も起こらなければ、気兼ねなく動いても良いと判断した。


シャワールームを出て、体を乾かしてから服を着込む。チェックイン時に浄化魔法によるクリーニングサービスがあったので、コートやブーツなどはそれを利用した。既に部屋に届いており、清潔になっている。こういった所は、この世界の便利な側面である。


ホテルのロビーに行くと、先程の軍服のお姉さん方と、もう少し背の低い、同じく軍服の女の子がソファに座っていた。


「あれ、どうかした?」


特に約束をしていた訳ではないが、三人の用向きは俺に間違いないだろう。もしかして、素性がバレたか。


「同行するメンバーが決まったから知らせに来たの。」


思い過ごしだったようだ。


「もしかして、君達三人?」


「そうよ。ええっと、ソウリュウさんだったわね?自己紹介がまだだったからしとくわ。」


依頼書と契約書に名前を記入したのだが、さすがに本名はマズイので、何気に蒼龍の名を借りたのだ。


「呼び捨てでかまわない。今から夕食を取りに行くつもりなんだけど、良かったらそこで打ち合わせを兼ねてどうかな?」


久しぶりのまともな食事だ。

できれば美味しい料理を出す店を、紹介して欲しかった。


「いいわよ。じゃあ、行きましょ。」





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