249話 冒険者ギルド⑱
「美味しい!」
難色を示していたスレイドの一言である。
イスケンデル·ケバブにかかっているヨーグルトは水っぽさがなく、クリーミーな感じだ。トマトソースと相まって非常に美味しい。
栄養価も高く、ボリュームもあるので、流行る理由がわかる。
「そう言えば、ジェシーは独り身なのかな?」
向かいに座るジェシーに、何気なく質問をしてみた。コミュニケーションのつもりだった。
「私はゲイなので、妻はいませんよ。」
「「··················。」」
真顔でエライことを言う。
俺と、横にいたスレイドは完全に引いていた。
性癖は各自の自由だとは思うが、エージェントの任務中にゲイの餌食になりかけたことがあるので、あまり関わりたくはない。俺にだってトラウマはあるのだ。
ぷっ!
斜め向かいに座っていたマルモアが吹き出した。爆笑している。
「ダメだよ~。ジェシーはいつもそんな顔で言うから···本気にされてるじゃん。」
「はっはっは、ジョークですよ。この厳つい顔のせいで、いつも堅物に見られるから、ちょっとかましちゃいました。」
俺は本気で拳をかましちゃいそうになりました。
食事を終えた後に、再び買い物に行った。
いつもお世話になっている人達に、ちゃっかりとお土産を買い揃えておく。好感度アップには必要だろう。
自分達の街では調達ができない物も、馬車に載る範囲で購入する。
主に遠征用のキャンプ用品や、武具の手入れ用の道具ばかりだが、あると便利なので重宝するだろう。
王都にしか出回っていない料理のレシピ集も買っておいた。自分用だけではなく、ターニャの弟くんやダルメシアンにも渡すつもりだ。
一通りの買い物を済ませると、デイブとの約束の時間を大幅に過ぎていたので、慌てて工房に戻る。
「すげぇ荷物だな。」
「向こうでは手に入らないものを買い揃えていたら遅くなりました。」
「構わねぇよ。馬車の準備はもう終わってるから、いつでも使えるぜ。」
「ありがとうございます。」
馬車の仕上りを確認してから、荷物を載せた。
俺とスレイドは乗ってきた馬を使うので、二台の馬車の中はまだまだ余裕がある。
「いろいろとありがとうございました。」
「ああ、ティーンにもよろしく言っといてくれ。」
セイルとマルモアに馬車を発進させてもらい、俺達は王都を出た。




