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247話 冒険者ギルド⑯

支払いを終えて工房を出た。


急に訪問したにも関わらず、ベイブはすぐに納車仕上げに取りかかってくれた。


馬車は元の世界の自動車と同じように登録が必要らしく、書類手続きと、最終整備を同時に進めてくれている。


「3時間後に戻ってきてくれ。その時には納車ができるはずだ。」


その言葉に甘え、街で買い物と食事をすることになった。出発は早くても夕方になりそうだ。


「今夜は来た時に寄った交易都市まで行って1泊しよう。」


「そうですね。今回は何事もなければ良いですが。」


ケリー達と出会った街だ。


大きい都市だが、そう何度も事件に出くわしたりはしないだろう。




「それは何ですか?」


「これはそれぞれ、シナモン、クローブ、ナツメグという植物を粉にしたものだよ。」


王都の商店街の一角に、食料品の卸をする大きな店舗があった。乾物やスパイス系なら日保ちもするので、買っておこうと思ったのだ。


「それを戦闘に使うのですか?」


「···違うよ。料理に使うんだ。」


スレイドが余計な話を広げるから、色々と誤解をされている。勘弁して欲しい。


「料理をするんですか?」


「たまにだけどね。」


「驚きました。タイガさんは何でもできるんですね。」


「何でもできると言われるほど上手かはわからないよ。下手な横好きって言葉もあるくらいだし。」


エージェントとして、プロのコック程度の技術は身につけている。ただ、自分で料理をする理由は、元の世界で好きだった食べ物がこちらの世界にはあまりないからだ。いろいろと探してはいるが、醤油や味噌なんかはまず、見つからない。


ターニャの実家のレストランで出る料理や、ダルメシアンのステーキは美味しい。でも、それは外食というジャンルとしてのものだった。俺はこれまでに食べなれた物を渇望しているのだ。


「もしかして、スパイス·オブ·マジシャンの異名は料理の腕前から来ているのですか?」


それも違うよ、アンジェリカ。


すでに騎士団内には、スパイス·オブ·マジシャンと、グレート·プレッシャーの異名が根付いてしまっていた。


ああ···誤解を解く暇もなく、変な印象が広がっていく気がする。


まるで蟻地獄のように、もがいても滑り落ちていく気分だ。






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