232話 冒険者ギルド①
王城を出て冒険者ギルドに向かう。
ギルド総本部は王都ギルドと同じ建物内にある。徒歩で20分くらいの距離だ。
帯同するのはスレイド、ケリー、セイル、ガイウスの4人。アンジェリカとイングリットは長期の派遣となるので、引っ越しの準備をすることになった。
「引っ越し準備大変じゃないか?手伝うよ。」
そう言ってみたが、
「私達は寮住まいなので、身の回りの物だけの荷造りで大丈夫なんです。」
と返事が返ってきた。
馬車に荷物を積み込んでから合流するとの事だ。
大人数での移動となるので、大公が馬車を提供してくれた。以前にフェリが使っていたものと同じタイプだ。「誰が動かすんだ?」と思ったが、セイルが精霊魔法を使えるらしい。
何気に大幅な戦力アップができてしまったようだ。
ギルド総本部に到着したので、受付でグランドマスターへのアポを申し出た。
若い受付嬢と楽しそうに話していたおっさんが、急に不機嫌そうな表情に変わり応対してきた。
「アポなしだと取り次ぎはできない。緊急だとしても、こちらには関係ないしな。」
明らかに面倒くさそうだ。
チッと舌打ちまでしやがった。
「アポなしで急に来たのは申し訳ないが、私はスレイヤーギルドの代表として来ている。適当な応対をされているが、あなたのことはグランドマスターとギルド協会にお伝えをしておこう。冒険者ギルドの品格を下げていると。」
「そっちが誰かは知らんがな、ルールはルールだろうが?常識がないのかてめぇ!?」
「スレイヤーギルドのギルマス補佐なんだが。」
「はぁ、ギルマス補佐だと?こっちは王都ギルドのギルマス様だぞ。」
だめだ。
こういう奴には教育が必要だろう。
「おまえか。バーネットに対してセクハラ発言を繰り返してボコられたのは?」
受付嬢が「え~!」と軽蔑の眼差しでギルマスを見た。
「なっ!?何だてめえは!そっちこそいちゃもんをつけてんじゃねぇよ!!」
「ギルマスだったの!バーネットちゃんをセクハラした上に追放したって最低だよぉ!!」
セイルがプンプンと怒りだした。
「あ!おま···あなたはトレイン様!?」
どうやらギルマスだけあって、セイルの素性を知っているようだ。




