228話 国王からの招待⑤
夕食会の会場に入った。
この世界では珍しいのかわからないが、ビュッフェ形式だ。
とは言っても、各ブースにシェフがおり、肉をその場で焼いたり、給仕をしてくれるので、冷めた料理が置かれている訳ではない。料理もかなり豪勢なものばかりだ。
「よく来てくれた。すでに顔合わせが済んでいる者しかこの場にはおらん。堅苦しい儀礼はなしだ。今夜は好きなものを食べてゆっくりとくつろいでくれ。」
国王から歓迎の言葉をもらうが、その横にいる2人が気になる。
ドレスアップしたケリーとセイルだ。
「お父様。改めてタイガさんにご挨拶をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
お父様!?
えっ?
どゆこと?
「おおっ、そうだったな。我が娘のケリーとセイルだ。王都までの道中で世話になったらしいな。」
「········娘って、二人は王女様だったんですか?」
「王位継承権はありません。それに王女ではないんですよ。」
側室の子と言うことだろうか。
だからラストネームが王家とは違うのかもしれない。こういった内情はこちらではわからないデリケートな部分があるだろうから、あまり質問などをすべきではない。
「ケリーやセイルには苦労をかけておる。すまない。」
おお、国王がまともな事を言ってる。
謁見の時に見せた遠い目はこのことが原因だったのか?他にもいろいろとあるんだろうな。正室と側室の争いとか···一夫多妻制って「ハーレムだぁ。」とかって安易に喜んで良いものじゃないな。
「お父様。私達は苦労だとは思っていません。周りの方達も良くしてくれてますし、自分の進路を選ぶ自由もありますから。」
「そうだよ。王女だったらいろいろと束縛もされただろうから、別に何ともないよー。」
「お前達····。」
国王の目がうるうるしていた。
ここにも親バカがいるが、見ていて和む。こういう親子って良いな。
夕食会が始まり、参加者と歓談をしていった。
「そう言えば、3人は王都の冒険者ギルドに所属しているんだよな?」
「うん、そうだよ!」
セイルが元気よく答えた。
「バーネット·レイクルって知ってるかな?」
「えっ?タイガさん、バーネットちゃんを知ってるの!?」
バーネットちゃん?




