217話 王都での謀略⑭
クルドにもコショウを振りかける。
「···ぶ···ぐわっしょんっ!」
鼻に入ったコショウはしっかりと役目を果たし、気絶したクルドの意識を目覚めさせる。
「おはよ~。ダメだよ、最後まで話しを聞かないと。」
「······················。」
目に恐怖が浮かんでいる。
よし、ダメ押しだ。
「この粉はキャロライナ·リーパーから作られている。死神という意味なんだ。」
クルドは目を見開きながらブルブルと震え出した。
「このまま傷口に盛り続けてもおもしろくないから、次は鼻に入れようかと思ってる。」
首を振って強い拒否を示している。
「嫌そうだな?じゃあ、これからする質問に答えてくれ。首を振るだけで良い。」
慌てて首を縦に数回振るクルド。
さすが、個体によってはハバネロの6倍の辛さを誇る唐辛子キャロライナ·リーパーだ。素晴らしい効果だった。
因みに死神の名前は辛さ故ではい。大鎌のような尾がついていることから命名されたらしい。
唐辛子の激辛ランキングでは、実はまだドラゴンズ·ブレスという最凶のものがある。こちらはハバネロの約8倍の辛さなのだが、さすがに見つけることはできなかった。
唐辛子も品種改良が重ねられて、数年に一度の割合で辛さのギネス記録が更新されているらしい。科学的な研究で配合されることもあるので、こちらの世界では存在するのかはわからない。
俺が唐辛子に詳しいのは、長期的な野戦などを強いられた時に、虫除けや、抗菌·殺菌作用を利用していたためだ。辛味成分のカプサイシンにはその作用がある。
決して激辛好きではないし、食べ過ぎると胃を痛めたり、意識を失う場合もあるので、キャロライナ·リーパークラスは食用にはしない方が良い。当然、傷口につけるのもオススメはしない。良い子はマネしちゃダメだ。
「俺を狙ったのは雇い主の指示か?」
さすがにクルドは答えない。
「否定するなら首を横に振るはずだけど、それもしないから肯定ということかな。」
俺は小瓶に匙を入れる仕草をする。
「んー、んー!」
猿ぐつわをしたままなので言葉は発せないが、キャロライナ·リーパーがかなり恐ろしいらしい。
「まぁ、いいや。じゃあ、陽動で爆発を起こした奴とは普段から面識があったのか?」
首を横に振る。
「俺に対して否定的な感情を持つ騎士団員を探して、一時的に仲間に引き込んだのか?」
コクコクと首を縦にふった。
そんな感じで、俺は騎士団員が水を持って戻ってくるまでの間、尋問を繰り返した。




