201話 謁見⑩
「ショ···シウォ···シオタ··えぇい、呼びにくいな。タイガと呼ぶぞ。突然試すような真似をして悪かった。王城内にスレイヤーの存在意義を疑問視する者もいたのでな。大公や騎士団長からの進言で、そなたの実力を見させてもらったのだ。」
良かった。
国王陛下にショタと呼ばれたら頭を叩く訳にはいかなかったので、ファーストネームで呼んでくれた方が良い。国のトップがショタと呼ぶと、他の者も絶対にマネるしな。
「元より、騎士団とスレイヤーではその役割がはっきりと別れていると認識をしております。今回、スレイヤーの存在意義を再確認していただける機会に恵まれたことを感謝致します。」
「うむ。そう言ってもらえると助かる。そなた達の存在は魔族や魔物討伐が主任務。騎士団は国衛のために存在する。その認識は変わらないぞ。」
要するに騎士団こそ最強で、スレイヤーの存在は必要があるのか?という考えを持つ者が騎士団か上位貴族達の中にいるのだろう。
先程の戦闘はその考えを払拭するためのデモンストレーションということだ。
しかも、それを画策したのが大公やターナー卿というのは、マイク·ターナー事件での事後処理で信頼を得たという証だと解釈ができた。
「それでは今回の謁見の本題に入る。タイガよ、そなたは魔族討伐に多大な貢献をし、何名もの貴重な命を救った。それに対して報奨を与えたいと考えておる。何か希望はあるか?」
ずいぶんと面倒な余興があったが、報奨のために俺は呼ばれたらしい。それに乗じて内政のダシに使われた感はあるが···まぁ、いいや。
それにしても、報奨か。
特に希望はないが···あ、そうだ。
「ありがとうございます。もし、希望を聞いていただけるのであれば、聖属性魔法士を数名で構いませんので、スレイヤーギルドに派遣していただけないでしょうか?」
「ふむ。性属性とは···エロイな。」
おい、こら。
おっさんの耳は腐ってんのか?
「聖属性魔法士です。」
「わかっておる。冗談だ。」
立場を考えた冗談を言わんかい!
間違いなく王の権威が地に落ちたぞ。




