199話 謁見⑧
どよめきをあげている上級貴族達を無視して、次の標的を定めた。
国王陛下が見ている中では難しいかもしれないが、騎士達は勝ち方に拘るべきではない。
騎士の自負としてきれいな闘いをしたいのであれば、彼らは既に勝ちを放棄しているのに等しいのだ。
ゆっくりと歩いて目の前の騎士団員に向かう。両手は横にだらりと垂らしていた。
「腰が引けてるぞ。」
そう声をかけると、掛け声をあげて剣を振りかぶってきた。
「うぉーっ!」
振り下ろされた剣の腹を右手で叩き、剣筋を逸らせた。そのまま右足を一歩踏み込み、腰を逆回転させて上腕を胸にぶち当てる。
「ゲフッ!」
胸を強打されて息を吐き出し、後方にぶっ飛んだ体がもう一人の騎士団員を巻き込んで倒れた。
「バカなっ!こんなにも戦力差があるなんて···。」
···あれ?
確か、ランクSスレイヤーって大隊に匹敵する実力があるってリルが言ってたよな···。
リルは変に誇張したことを言うような性格ではない。それに闘った感触では、その発言は的を射ている。彼らの実力はそんなものだ。
じゃあ、こいつらはなぜそんな発言をするのだろうか。
わからん。
「あれ?もしかして勝つつもりでいたのかな?」
思わず質問をしてしまった。
「ぐっ!?貴様ぁ!我々騎士団を愚弄するのかっ!」
あ、怒った。
「そんな気はない。ただ、相手の力量を見極められない程度なら、何かを守ることなんてできないと思うぞ。」
「なめるなぁっ!!」
救いようがない。
仕方がないから思い知ってもらおう。
剣を真っ直ぐに突き出してきた騎士団員に対して踏みこんだ。紙一重でかわして手首を掴み、相手の力を利用して円を描くように振り回す。
その反動でバランスを崩し、こけた顎に蹴りを入れて意識を刈り取った。
「はい、ご苦労様。」




