19話 スレイヤーギルド
街に戻るとアッシュ達と一緒にスレイヤーギルドを訪れた。
この世界に来て初めての街だったが、中心部は5階建てくらいのビルが立ち並ぶそれなりに近代的な都市であった。
「思っていたよりも栄えているな。」
何となくそうつぶやくと、フェリが簡単な説明をしてくれた。
「ここはギルバート家の領土内で2番目の都市よ。人口は約4万人。スレイヤーギルドがあるから魔物から採取される素材の取引きを中心に経済が発展しているの。」
「そっか。フェリ達が暮らしているのもここなのか?」
「うん、そうよ。私が通っている王立魔導学院も中心部にあるわ。」
学院···フェリは学生なのか。
「その学院には図書館があったりするのかな?」
「あるけど···魔法に関する書物は一般公開されてないよ。」
キョトンとした表情で小首を傾げるフェリ。いちいちカワイイな、おい。
「歴史書とか文化について書かれた本が読みたいんだけど、無理かな?」
「それなら大丈夫だよ。」
明日に学院の図書館に行くことにした。この世界に関する知識をできるだけ頭に入れておきたい。
字が読めるかわからないが何とかなる気がする。
「フェリの制服姿を見てみたいしね。」
半分冗談でそう言うと、フェリは耳まで真っ赤になってしまった。
えっ?そんなに恥ずかしい制服だったりするのかな?
ちなみにラルフは馬車を格納庫に持って行ったのでここにはいない。
「着いたぞ。ここがスレイヤーギルドだ。」
そう言いながらアッシュが前方の建物を指す。
レンガ色の落ち着いた5階建ての造りをしており、学校のように400メートルトラック級の広さのグラウンドが手前にあった。
「手前は認定試験を行う修練場だ。あとでタイガには模擬戦をやってもらいたい。」
「模擬戦?」
「一応、スレイヤーの等級認定に必要だからな。」
アッシュはなぜかワクワクしながらそんなことを伝えてきた。
「たぶん模擬戦の相手はアッシュよ。彼は強い人と闘うのが趣味だから。」
リルがそっと耳打ちをしてくれた。
そう言えば初対面の時に「俺が強そうだから」とかなんとか言ってたな。
バトルジャンキーって事か。
なんか納得。
建物内に入ると、中の職員から口々に声がかかる。
「おかえりなさい。ギルマス。」
みんなアッシュに向かって挨拶をしている。
「アッシュはギルマスだったのか?」
隣にいるリルに聞いてみた。
「ええ、1年前に就任したのよ。あれでも国内では最強のスレイヤーだから。」




