195話 謁見④
王城内に入り、ジョシュアの誘導で控え室に通された。
謁見には1人で出向くようで、スレイドはジョシュアと一緒に城内に消えていった。
中にはメイドが2人待機している。純粋なメイドだ。
ミニスカートのメイド服で「おかえりなさいませ、ご主人様ぁ~。」何てことは言ってくれない。
落ち着いた装いでルックスも悪くはないが、事務的な表情をしている。甘えた声を出されたらギャップ萌えするかもしれないのだが。
などと期待をしても無駄だった···残念。
「城内は警護に従事する者以外の帯剣は禁止となっております。武具や防具をお預かりさせていただけますでしょうか?」
「わかりました。」
剣やコートなどを手渡す。
「ではこちらがお預りの証となります。謁見のための衣装にお着替えをいただきますので、まずは採寸にご協力下さい。」
預り証代わりにコインのようなものを受け取り、採寸に応じる。
「あの···敬語では恐縮します。普通にお話しください。」
若い方のメイドがそんなことを言う。普段は横柄な貴族なんかの相手をしているのかもしれない。
「私は貴族ではないので気にしないで下さい。淑女のあなた方には自然とこう言った話し方になってしまうのですよ。」
紳士的に振る舞ってみた。
2人が微かに頬を染めたように見える。淑女と呼ばれるのは悪い気分ではないようだ。
ここは王城。
下級貴族などは花嫁修行と結婚相手を探させるために娘を使用人に出すことがある。身元が保証されているため、王城側も安心して雇用ができるという訳だ。
「背がお高いのですね。細身かと思いましたが、やはりスレイヤーの方はたくましいです。」
なぜか採寸をしながら胸をそっと撫でてくるのだが···何か対応を間違えたのだろうか。
2人にいろいろと触られながら採寸が終了した。
どっと疲れたのだが···。
基本的に免疫があまりないので、女性から触られるのは嬉しさよりも恥ずかしさが先行してしまう。
ヘタレと言いたかったら···いや、やっぱり言わなくていい。




