191話 王都への招聘⑫
男達は拘束され、地元の保安係に引き渡されることになった。残りの3人についても、ガイウスとセイルが溜り場に踏み込んで捕縛をしているはずだ。
俺とスレイドは王都に行かなければならないので、後の処理をケリー達に任せて馬を走らせた。
「タイガさん、またお会いしたいです。」
「まったね~。」
「楽しかったですよ。また今度酒でも飲みましょう。」
三者三様の挨拶で見送られたが、そうそう会うこともないだろう。
気持ちの良い3人だったので別れを惜しみつつ、王都に向かうことにした。
今回の一件で半日以上時間を取られてしまったので先を急ぐ。今日中には王都に着いておかないと、野宿をするはめになるからだ。
夕方遅くに王都に到着した。
湿って足場が悪い場所を通過したことや、冒険者と同行したことで、当初の予定よりも少し遅れての到着ではあったが、王城に出向くのは明日でも大丈夫だった。
王都は初めて訪れたが、かなりの大都市だ。外周に張り巡らされた城壁が圧巻で、王都内に入るためにはその数ヵ所に設けられた検問を通過する必要がある。
検問所近くの厩舎に馬を預けに行くが、順番待ちで長蛇の列ができていた。
「俺達はあちらのようですね。」
スレイドに言われてその方角を見ると、王城の来賓用の窓口があった。貴族らしき馬車が数台あるだけで、それほどこみあってはいない。
「ご本人確認ができました。それでは、奥で湯浴みと診断を受けられてから入都してください。」
奥に進むとシャワー室があった。
体を清潔にし、治療院から出向してきている医師の診察を受ける。
疫病防止のためのようだ。
こういった対策がされているところを見ると、しっかりとした国政がされていると感じさせられる。
一通りの手続きを済ませて城壁を潜ると、活気に溢れた街並みへと続いている。
人が多い。
この世界で見た他の街とは比較にならないくらいの喧騒だ。
「すごい人だな。」
「ギルマス補佐は王都が初めてでしたね。ここは外側の街で、30万人が暮らす一般街です。商業も盛んなので、住民以外にも人の出入りが多く、昼間の人口は倍になると言われています。」
都の中心に向けて大通りがあり、忙しそうに動き回る商人が目立った。昨日の交易都市よりも身なりの良い人間が多い。
今日1日くらいはゆっくりと街を見て回るか。
そんなことを考えながら足を進めた。




