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190話 王都への招聘⑪

ガッシャーン!


ガラスが粉々に割れ、床に散らばると同時に室内に侵入していた。


30畳に満たない部屋。

数人の子供達と男が2人いる。


手前の男の眉間を狙ってセーフティスティックを投げつけ、玄関側にいた男に駆け寄って鳩尾に蹴りを入れた。


ドンッ!


ドアに体を打ちつけられて崩れ落ちる。


部屋の中央にいた男はセーフティスティックをかわしたようで、近くの子供を掴もうとしている。


もう一度セーフティスティックを投げつけ、同時に走り寄る。気づいた男が避けるために子供から離れたところを顎への掌底一発で沈めた。


少し怯えた感じの子供達ではあったが、「お家に帰ろう。」と言って笑いかけると、表情を変えてくれた。


安心をしたのか、笑ったり、泣いたりと様々だったが、トラウマにさえならなければ良い。


子供を盾に脅すような奴等は絶対に許すわけにはいかなかった。




子供達を村長に引き渡し、スレイドの方も片付いたことを知ると、集会場に捕縛した6人を転がして尋問をした。


当然、素直に喋る奴なんかはいない。


「しょうがないなぁ。あんまり使いたくはなかったけど、この瓶の中身を飲んでもらおうか。」


ポケットから取り出した小瓶を振る。男達に怯えが走った。


「な···何だよ···それは···。」


「俺の故郷ではデスソースと呼んでいる。」


「デ··デスソース····毒かよっ!?」


「さあな。あんまり楽には死ねないかもな。」


俺はニタァと笑った。




「それじゃあ、あいつらの仲間がまだいるってこと?」


「ああ。残りは3人だそうだ。」


真相は良くあるような話だった。


この村から数キロ先で金鉱が見つかった。発見したのは若い村人で、悪友である守衛の男に話をして自分達のものにしようと企んだらしい。


通常、金鉱などが見つかると、土地の権利を有する者が採掘の権利を得る。発見場所は村人が共同で所有する特産品であるキノコの採取場だった。


男達は金鉱のことをこの村に気づかれないように、魔物が発生したと若い村人に虚偽の証言をさせた。しかし、魔物の襲撃を恐れるあまり、特産品の運搬が滞ってしまい、今後の生活への不安から1人の村人が冒険者ギルドに依頼を出したことで歯車が狂い出した。


男達は冒険者が村を訪れて調査をしないように、村の子供達を人質に取って村人を脅したのだった。


それが今回のあらましである。









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