187話 王都への招聘⑧
「タイガさんは王城や組織のあり方に何か疑問をお持ちなんですか?」
ガイウスが話に加わってきた。
「疑問はそれほど感じないかな。国益を考えて広い視野を持つことは重要だ。ただ、市井に関しては平民と同じ立場で物事を見て、考えられるような立場からの情報源が必要だと思う。権力者と平民では、視野も考え方も違いすぎるからな。理想論だが、その双方の意見が取り入れられた国は繁栄しやすいと思う。」
「···僕も同じ考えですよ。タイガさんは政事に向いている気がします。将来志望ですか?」
「ははっ。まったくそんな気はないよ。そんな甲斐性はない。」
ガイウスは意味ありげな口調でそんなことを言っている。身分を隠しているし、言動にもいろいろと含みがあるようだ。軽はずみで余計なことを言うことは後で状況をややこしくしそうだった。もちろん、俺には政治家への野望なんかは微塵もないけどな。
再び馬に乗ってノンストップで駆けた。
昼前に目的の村に到着する。
「冒険者ギルドから参りました。村長さんはいらっしゃいますか?」
村の入口で守衛をしていた男にケリーが尋ねた。
言葉遣い、雰囲気など普通の村人ではない。冒険者ギルド以外から護衛に呼んだとも考えられなくはないが、荒み過ぎている気がした。
「ああ、ちょっと待ってろ。」
男はそれだけ言うと村の中に入って行った。
スレイドが何か言いたそうにしていたが目線で抑える。四方から監視の視線を感じるのだ。魔物に不安を持つ村の雰囲気ではない。
10分程待たされた。
男が年配の男性を連れて戻ってきたのだが、年配の方の顔色は悪く、額に汗まで滲んでいる。
「わざわざ来ていただきましたが···魔物が出たと言うのは目撃した者の勘違いでした。」
「えっ!?勘違いって···ギルドには依頼が出されたままだよ。」
セイルが不審そうに答えた。
「それは···申し訳ありません。ですが、もう大丈夫なんです。」
「村長さんですよね?我々も依頼の引き下げがギルドを通して確認できていない以上、すぐに帰るという訳には行きません。村の中と、魔物が目撃されたという場所を一度見せていただけませんか?」
「それは···。」
村長らしき老人は答えに窮していた。
「もう必要ねぇって言ってるだろ!邪魔だからさっさと帰れよ。」
守衛の男が怒鳴りだした。
俺は尚食い下がろうとするケリーの肩に手を置く。アイコンタクトで伝えると、素直に頷いてくれた。




