186話 王都への招聘⑦
翌朝、俺達はウォーウルフが出たと言う村に向かって出発した。
冒険者ギルドの任務なので、俺とスレイドは魔物に関するアドバイザーとしての同行だ。
「ケリーは騎士団とか教会には興味がなかったのか?差し支えがなければ教えてくれないかな。」
俺とスレイドの馬は疲弊している。途中で小休止を取った。その時に聖属性魔法士のケリーがなぜ冒険者になったのかが気になっての質問だった。
聖属性魔法士は回復や浄化を行える。
他のどの属性魔法士よりも高位な回復魔法が使え、毒の浄化もできる特殊な存在でもあるためにその需要は低くない。普通なら危険が高く、大した地位を得ることのできない冒険者は選ばない。
「···あくまで個人的な意見ですが、騎士団は国益と規律を重視します。助けを求めている人がいても、大義の前にはそれに干渉しないという側面が私には合わなかったんです。教会に関してもボランティアではなく、やはり教会の利益を優先する体質が好きになれなくて···。冒険者ならある程度は依頼内容が選べますから。」
エージェントの世界も似たようなものだった。そういった面で共感ができた。
「組織というものは似たような側面があるからな。その気持ちは理解できるよ。」
そう返すと、ケリーは意外そうな顔をした。
「タイガさんでもそう思われるのですか?」
「うん。目の前に困っている人がいたら、些細なことでも助けたいと思う。大義が重要ならそれに支障が出ないようにうまくやれば良い。」
少し考え込むような素振りを見せた後に、ケリーが質問をぶつけてきた。
「タイガさんは国王陛下との謁見のために王都に向かっていると聞きました。なぜ私達に同行をしていただけたのですか?」
「深い意味はないよ。ただ、今回のケースが気になった。役に立てるかはわからないが、少なくとも魔物に関する案件に関してはスレイヤーの俺達がいた方が説得力が高まる。誰かが何かを企んでいるのなら、その企みを看破しやすいかもしれないと思った。それだけだよ。」
セイルもガイウスも俺が話す内容を興味深げに聞いていた。ギルドの幹部となっている以上、あまり良い発言ではないかもしれない。
でも本心は大事にしたいと考えていた。




