179話 スレイヤーギルドの改革⑯
ニーナが2人の身体能力のチェックや測定を始めたので、俺は売り場を見て時間を潰した。
「武具製作の費用は俺が出すから予算は気にするな。」
ニーナにそう告げた。
バーネットとパティが「体で返すからっ!」とか言ってきたが、「働きで返すから。」の言い間違いだろう。
誤解をされるから言葉はちゃんと使ってくれ。
ニーナが苦笑いをしていたじゃないか。
売り場を見ていると気になる商品があった。
セーフティスティック。
別名をクボタンや護身棒と言う。
エージェントとして、この武器に助けられたことは一度や二度じゃない。
小さくて携行しやすく、敵への攻撃以外にもガラスを割ったり、ツボを押して肩こりの解消もできる優れ物だ。俺は前の世界では、これを応用したペン型のタクティカルペンを常備していた。
全長15センチ、直径1.5センチくらいの鉄の棒で、魔族との闘いで役に立つかはわからないが、懐かしさのあまり購入することにした。携帯がしやすいので、女性の護身用武器としても使える。1本はターニャにでもあげよう。
他にもおもしろい武器はないかと探してみたが、気を引くものは特に見当たらない。ヌンチャクやトンファーなどがあればおもしろいなと思ったが、魔族や魔物と闘うのに打撃系武器は効果が低い。なくて当たり前かもしれないな。
1時間程経ってから3人が戻ってきた。
「待たせてごめんなさい。」
ニーナが謝ってきたが、退屈はしなかったのでそう言っておいた。
「聞いてくれタイガ。俺の新しい盾はアダマンタイト合金製なんだ!」
「おお、マジか!?それで殴られたら死ぬな。」
アダマンタイトはダイヤモンドなみの硬度を持ち、この世界の金属の中では最も軽い素材だ。レアメタルとして有名だが、盾の素材としてはこれ以上のものはないだろう。
「成形しやすいようにミスリルと鋼を混合した合金よ。軽すぎると盾としては扱いにくくなるから、バーネットの身体能力に合わせた重量とバランスに設定するわ。」
「ありがとう。パティの方はどうなんだ?」
「ふふ~ん。私のダガーは100%ミスリル製。」
ミスリルは鉄よりも強く、銀のように美しい輝きを持つ金属だ。こちらもレアメタルではあるが、加工はしやすいと聞く。
「パティのダガーにはしなるような柔軟性を与えた方が良いから、アダマンタイト合金よりもミスリルを選んだの。」
刀身が短いダガーだと、しなりがあった方が斬れ味は増す。さすがの素材選択だ。
「さすがニーナだな。これでパーティーの近接戦闘に不安はないよ。」
俺の言葉にバーネットとパティがまかせろという感じのガッツポーズをとった。




