17話 閑話~Side フェリ 運命の出会い!?②~
もう少し閑話におつきあいください。
山間部を歩いていると不自然な音が突然聞こえてきた。
バァーン!
という何かが弾けるような音の後に
ドンッ!
ドシンッ!!
と重量物が地面に突き刺さるような音と地響きがこだました。
「····何!?今の音は!!」
普段では起こり得ないような状況に緊張が走る。
「俺が見てくる。3人は他に異常が起きないか気を配っていてくれ。」
兄であるアッシュが一人で状況確認に向かった。
あのような地響きや不自然な音は巨大魔物が発現した可能性も考えられ、原因を突き止めることが急務となる。
山間部とは言え、巨大魔物が発現すると他の魔物を誘導して街を襲うというような事例が過去に何度もあったからだ。
巨大魔物は魔力の滞留による突然変異であったり、魔族の術式によるものであったりと、その発現原因には様々な説があるが、明確に解明されていないと言った方が正しいのかもしれない。
一体の発現による脅威は天災級で、ひどい場合は人口数万人規模の都市が壊滅させられることもある。
「ただの倒木なら良いけど···。」
隣にいるリルの言葉にフェリはうなずいた。
「何かが来る。」
ラルフがつぶやいた。
彼は武芸に優れていて人の気配を察知する。
フェリやリルも魔法による索敵ができるが、どちらかと言うと対象の魔力を検索する効果であるため、魔力が小さい相手や抑制する術を使われているとあまり広範囲で察知ができない。
アッシュが去ってから1時間くらいが経過している。
何かが迫ってくる方角に気をやっていると、かなりの高速で黒髪長身の男が走ってきた。
うそっ!?···速い!
フェリは驚愕してその男を注視してしまっていた。
馬が全力で駆けてくるかのようなスピード。
恐怖を感じていい状況なのに、その黒い瞳に吸い込まれそうな気がして動けなかった。
そこにいる全員が呆気にとられて動けない中で黒髪の男は跳躍した。
まだ15メートルも手前から高く跳んだ彼はフェリの頭上を遥かに越え、真後ろに迫っていた魔族に攻撃を加えたのだった。