16話 閑話~ Side:フェリ 運命の出会い!?①~
今回も閑話ですが、フェリの視点で書いています。
いつものようにみんなと巡回に出た。
魔族の占有地の近くで異常がないかの定期的な巡視。
正直、めんどうではあるけど、職務だから仕方がない。
普段のフェリは学生として、魔法についての勉強で1日の大半を費やす。
領土にある王立魔導学院分校の二年生で主席の成績を継続している。
王立魔導学院は国内でもエリートが通う学園として有名だ。宮廷魔導士の登竜門とも言われている。
魔族の脅威にさらされるこの地にある分校は、本校を凌ぐ実践カリキュラムが組まれており、座学に片寄りがちな魔導学園の中でもレベルが段違いに高い。
様々な地域から特別推薦枠でしか入学を許されないその学院で主席という立場は羨望の的である。
しかも、フェリの容姿は群を抜いており、交際を申し入れてくる男子は後を絶たない。
フェリはつきまとってくる男子に煩わしさを感じていて、基本的に異性には冷たい態度を取るようにしている。
以前に普通に接していた男子生徒にストーカーまがいのことをされ、実力行使で排除をした経験からそうなった。
女子生徒とは仲が良いが、男子生徒からは「氷の女王」などという腹立たしいあだ名で呼ばれていることも知っている。
巡回では姉のように慕っているリルと同行するのが楽しい。
2つ年上のリルは美人で明るく、フェリとは話がはずむ。
「よく異性につきまとわれて困る」という共通の悩みもあり、兄二人しかいないフェリにとっては頼もしい相談相手でもある。
巡回中はこいつ=ラルフがいちいち会話をしようと話しかけてくるのがストレスにはなったが、うまくあしらう術を教えてくれたのもリルだった。
正直なところ、恋愛に興味がない訳ではない。
でも、自分よりも能力で劣る相手とつきあう気は一切なく、容姿に関しても理想が高いので彼氏いない歴=年齢なのである。
傲慢そうに思われるかもしれないが実はそうではなく、これも過去の苦い経験によるものなのだ。
もともとは明るく世話好きな性格なので、幼少の頃から友達づきあいをしていた異性の数は非常に多かった。しかし、思春期を迎えると、フェリの圧倒的な魔法技術や容姿に劣等感を持ち、ほとんどが疎遠となってしまう。
フェリと一緒にいることで大人からは能力を比較され、同年代の者達からは釣り合いがとれないからと嫉妬によるいじめを受けたり、疎外されてしまうのである。
当然の結果として自然と異性から敬遠されるようになってしまったのだ。
今、つきまとってくる異性達はそんな事情を知らない貴族の子息ばかりなのだが、彼らは外見や家柄に重きをおき、内面を見ようとはしない。
そんなのはお断りだった。
ラルフもそんな一人ではあったが、分家という親戚の立場であり、スレイヤーとしても一緒に活動をするので仕方がない。
ただ、彼はその劣等感を自ら受け入れ、時にそれに甘んじる態度を取るので、フェリにとって恋愛対象には絶対にならなかった。
外見も性格も体育会系すぎるのが拍車をかけているのは言うまでもない。
フェリはルックスの好みがどんなものなのかは自分でよくわかってはいなかった。どちらかというと、洗練された物腰や気遣いができる人が好ましいと思う。
そんな恋愛未経験のフェリに突然の出会いが訪れた。