163話 レイド vs上位魔族⑲
「みんな無事?」
逸早く駆けつけたパティがアッシュに確認をする。
上位魔族が去った後、レイドに参加をしていたスレイヤー達はアッシュの元に集結をしていた。
タイガ達に同行をしていたスレイドのパーティーを含めて総勢で36名。スレイヤーギルドの約5分の3にあたる。
スレイヤーギルドの管轄地域は魔族の占有地と隣接する南北400キロ近くに渡り、定期的な巡回だけでもかなりの人員を要する。当然、余裕があるわけでもなく、今回のレイドで犠牲者が出なかったことは不幸中の幸いと言えた。
「ああ、助かった。それにしても予想外の速さでの到着だな。」
「タイガのアイデアで速く着いた。え~と···すとりっぷすとりっぷだっけ?」
「は?すとりっぷすとりっぷ?」
周囲にいたスレイヤーに、はてなマークが吹き荒れた。
パティよ···それでは18禁だろ。
近くまで来たタイガはツッコミたい気持ちを抑えて内心でそう思った。
「スリップストリームだ。」
「ああ、それそれーっ。」
頭痛がするぞ、パティ。
「それに興味はあるが、詳しい話はまた今度聞くよ。それよりも気づいたか?」
アッシュが真面目な顔で聞いてきた。そこら中から血が滲んでいる。
「ああ。これまでの魔族とは別物だな。」
「上位魔族と言っていた。普通の魔族が5体がかりでも倒せないらしい。」
「闘った感想は?」
「強いな。手段を選ばない奴なら、ここにいたスレイヤーは全員殺られていたかもしれん。」
「そうか···。」
タイガはやはり自分が複数の魔族を討伐したことにより、厄介な上位魔族を呼び寄せてしまったと感じていた。
「気にするなよ。」
「ん?」
「上位魔族が来ようと、追い払えば良い。」
「そんなに簡単な話か?」
「お前がキーマンだ。」
「は?」
アッシュはニヤッと笑いながらタイガの肩を叩いた。




