最終章 You Only Live Twice 108
二発目のベレット弾を発射後、すぐに竜孔流の再充填を行い次弾の準備を行う。
ロスが少ない分、ベレットへの充填にはほとんど時間はかからなかった。
同時に襲い来るビルシュの触手は超高速によって残像を生んでいる。
しかし、それと違わないスピードでルシファーの翼も迎撃して奴の攻撃を弾いていった。
Judgment calculation of thoughtが思考を読み、攻撃の先手を取る。
二発目のベレットが体表を貫き核に肉薄した。
しかし、先ほどと同様に核が加速された動きをする。
核に命中することなく通過するベレットだが、それを次弾の布石としていた俺はさらに引き金を絞った。
触手の攻撃と同様に核の動きは予測していた。
三発目のベレットは、核が移動する先へと向かって空間を穿ちビルシュへと着弾する。
核を捉えた瞬間、凄まじいまでの波動が発生して俺の意識は刈りとられた。
「どうやら終わったようだな。」
「みたいだね。」
何の感慨もなく答えるルシファーにシェムハザは問うた。
「かなり回りくどい手法を講じていたが、目的は達したのだろう?」
「ああ。彼が想定通りに上手く機能してくれたよ。」
「だが、ベリアルの波動で別の次元に追いやられたようだ。」
「それは当然の結末だ。むしろ人の身で最後までやり遂げたことを称賛したいところだがね。」
「神力と超自然、それに科学による合わせ技というところか。」
「そのすべてを合わせ持つことができるのは彼くらいだろうから。この結果を見ると、召喚された意味は十分に果たしてくれたと考えるべきかな。」
「力を分け与えていたが、あのままで良いのか?」
「ああ、あれはベリアルの波動で解除されたと思う。代わりに傷の治癒はしておいたから、後は勝手にどうにかするさ。」
「まだ何かの駒に使う気なのか?」
ルシファーはシェムハザのその言葉に意外そうな目を向けた。
「もしかして、彼を気に入ったのか?」
「いや、おまえが存在を消し去らないことが意外だっただけだ。」
それを聞いたルシファーは微笑んだ。
「そのうちまた混沌とすることがあるかもしれないから、その時には出張ってもらおうかと思ってる。」
その笑顔は見る者によっては邪悪な、そして魅惑的なものだった。




