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158話 レイド vs上位魔族⑭

一方、スレイド達は苦戦を強いられていた。


動きが素早く、堅牢な障壁に囲まれた魔族。

空を飛びながらスレイドとセティの剣撃をかわし、ケイガンの風撃を避ける。


「くそっ!あたらねぇ。」


ケイガンが愚痴る。


先程から何度も風撃を放ち、飛び回る魔族を狙うが、動きが早すぎてかすりもしない。


急降下をしながら攻撃してくる魔族。

カウンターを狙った剣撃を繰り返すスレイドとセティだが、相手の動きに翻弄されていた。




そんな戦闘から少し離れた所にミシェルがいた。


だめ···何もできない···。


ミシェルは無力感を感じずにはいられなかった。

魔力量の大きさや、威力については他の誰にも引けを取らない。


でも···緻密なコントロールができなかった。


敵だけしかいないのであれば、詠唱する余裕さえあれば特大の魔法で対処できる。でも、混戦時には自分は何もできない。


魔法を撃てば味方を巻き込んでしまう。


ミシェルはそんな自分が歯痒かった。




「何をしている?」


いつの間にか横にタイガが立っていた。


その時になって他の魔族二体がすでに討伐されていることに初めて気づいた。


タイガが規格外の強さなのは目の当たりにしている。


でも、ランクDが2名もいるパーティーが、もう1体を早々に倒したなんて考えられなかった···自分達のパーティーよりも総合力で格段に劣るはずなのに。


そんな風に考えてしまう。


原因は連携が取れない自分のせいなのに。


「混戦時には···私の魔法が強すぎて味方を巻き込んでしまうんです。」


強がっても仕方がないので、正直に言ってみた。


「そうならない努力はしたのか?」


タイガの一言がミシェルの心を鷲掴みにした。







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