最終章 You Only Live Twice 73
素早く引き金を四度しぼり、装填されているロケットを全弾発射する。
もちろん、一発ごとに角度を変えて着弾範囲を変化させた。
オリジナルのM202がそうであるように、RL4は使い捨てではない。
映画などで用いられるときはそのまま廃棄しているが、四発をまとめたロケットを再装填することで再使用が可能だ。
俺は空間収納から新たなロケットを顕現し、RL4に再装填する。
因みに、RL4は四発撃てるロケットランチャーだからそう名づけた。いつもながら安易なネーミングだが、俺やクリスだけが把握できればいいので文句は受けつけない。このあたりは医薬品に名づけられる商品名と同じで、どのような効果がある銃器かがすぐにわかればいいのである。
再び照準を感覚で合わせて四連射した。
ライフルや拳銃などと違い、ロケットランチャーはそれほど的をしぼる必要はない。効果範囲が広い上に、飛行する悪魔たちは密集する傾向にあるからだ。
こういった傾向も奴らのおごりである。
分散して的を絞らせないのは元の世界ではあたりまえのことなのだが、飛び道具で広範囲を攻撃できるものなどこの世界では限られていた。
さらにいえば、広範囲への攻撃魔法は奴らの障壁で簡単に無効化されたりもする。
こういった条件も重なり、悪魔たちを一網打尽にするために元の世界の軍事兵器を使うことは非常に理にかなっているといえよう。
さらに新たなロケットを装填する。
さすがに悪魔たちはバラけだしたが、距離が近くなっているため当てることはそれほど難しくはない。
RL4の初速は114m/秒である。音速の三分の一のスピードではあるが、悪魔はこちらに向かって飛行しており距離も既に100mに満たない。さらにいえば、奴らは魔法障壁をピンポイントではなく、体を円で包むように展開しているようだった。
そこにロケット弾を撃ち込めば、着弾ポイントはずらされにくいのである。転移でも使えば回避できそうなものだが、そこは未知の武器での攻撃を受けてまだパニック状態となっているのだろう。
だから普段から対抗できる相手がいない強者は崩しやすいのだ。
これもテトリアに使った手段と同じく、初見殺しというやつである。
俺はRL4を収納し、HG-01に持ち替えた。
悪魔の回復力は異常ともいえるスピードだ。
それで立て直しを計られる前に殲滅してしまわなければならなかった。




