最終章 You Only Live Twice 60
「前にも言った気がするけど、はっきりさせておくよ。」
テトリアがこれまでとは声音を変えてそう言った。
「なんだ?」
「僕にとってビルシュは長いつきあいの相手だ。でも友人というわけじゃない。」
「主従関係とでも言うのか?」
「はっはっは、ビルシュが従者か。あんな口うるさいのはごめんだね。」
いや、どちらかといえば反対だろう。
まあ、こまかいことをツッコんでいると話が進まないので流しておくが···。
「違うのか?」
「違うね。僕たちは互いに利用しあうためだけの関係さ。彼には何か目的があるのだろうけど、協力するのはこちらにその価値があるからに過ぎない。」
一方的に利用されているとしか思えないが、それもツッコんではいけないだろう。
「僕は僕のやりたいことだけをする。彼に協力するのはそのためでしかないんだよ。いわゆるギブミーチョコレートってやつさ。」
···こいつはどこでそんな言葉を覚えたんだ?
チョコレートを欲してどうするつもりか。
「ギブアンドテイクじゃないのか?」
「···スラングというやつさ。」
砕けすぎて原型が別になり変わっているだろうが。
「精神体だから頭がおかしいのか?それとも笑わせたいのかどちらだ?」
「···君はいつもそうだね。そうやって僕をバカにする。」
「おまえがバカだからだろうが。」
「く、ビルシュと同じことを言うとは···。」
ああ、やはりそういった対応をされているわけだ。
「そのビルシュだが、奴の目的は知っているのか?」
「さあね。興味がない。」
「では、おまえの目的は?」
「前にも言ったけど、君の体だ。その体を使って気持ちよくなるんだ!その僕にはないやつを使って、考えうる限りの快楽に身を委ねるんだよ!!」
熱弁するのはいいが、LIVE配信中に何てことを言うんだコイツは!?
今この瞬間に、不特定大多数の間でありえないイメージが吹き出たはずだ。
テトリアとビルシュが手を組んでいたことは公になったが、後半は余計なこと過ぎる。
「ごめん、タイガ。配信を止めれなかったわ···。」
インカムからサキナのささやくような声が聞こえてきた。
もちろん彼女に罪はない。
「テトリア、そろそろ終わりにしようか?」
「終わりって何だい?絶頂のことかな?」
黙れ、皮被りが。




