最終章 You Only Live Twice 40
結局、王城からは翌日に連絡が入り、スレイヤーギルドが責任を持って俺の身柄を搬送せよとの指示がきた。
国の情勢が如実に現れた結果ともいえるが、以前に関与した騒動を踏まえて考えればまだマシになった方だろう。
どのような組織でも大なり小なり差異はあっても、反意を唱えたり不満を表に出す勢力というのは存在する。
例えそういった大きな勢力が消えたとしても、一時的に沈静化した後にまた新たな存在が代頭するのは常といえよう。
政治や貴族の社会とはそういったものだと思っていたが、やはり辟易するしかなかった。
「それで、どうする?」
「とりあえず馬車で搬送してもらえないか?」
俺が昏睡状態で拘束されていると王城にも伝わっている。
馬車での進行速度は遅いため、それで時間稼ぎはできるだろう。
その間に何か動きがあれば思惑通りにいく。
ただ、搬送途中で襲われるということになった場合、俺が表に出ることは危険かもしれなかった。
襲撃の相手がビルシュ側でも王城からの刺客であっても、俺が昏睡していないと立証されれば話はまたややこしくなる。
スレイヤーギルドへのさらなる警戒、大公への不審などを誘発する可能性があるからだ。
「わかった。それなりの戦力で出向く方がいいだろうな。」
「そうだな。道程で不測の事態があれば対処はお願いしたい。」
「来ると思うか?」
「五分五分か、少し可能性が高いといったところだろう。」
虚偽報告だと証明して得られるメリットと、迎撃されて裏で教唆した人物が割り出されるデメリットを考えると、可能性は五分五分よりも分が悪いだろう。相手にとってはそれほどの旨みはない。
ただ、そこにビルシュの意図が絡んでくる場合はその可能性を高めてしまう。
今のところ俺は容疑者程度の扱いである。状況証拠だけでも裁くことは可能だろう。元の世界に比べて、そういったところはアバウトなところが多かった。
ただ、それがビルシュにとってメリットを生むかといわれれば難しいところである。
邪魔者の排除という面では一定の意味があるだろうが、神アトレイクの敵と印象づけるには少し弱い。教会内部で今回の事案を疑問視する者が少なからず存在しているのがいい例である。
ただ、テトリアが俺の体に憑依する目的で襲撃してくるならその限りではないだろう。その場合は黙って昏睡している振りをしているわけにもいかなかった。




