最終章 You Only Live Twice 11
久しぶりにスレイヤーギルドへと戻って来た。
途中、何度か往復はしたが、ゆっくりとできるような余裕はなかったのだ。
これから先をどうするかは少し決めかねていた。
ビルシュの様子を探るにしてもルシファーが言っていたことが真実だとすると、下手な動きは教会本部にいる者ごと人質に取られる結果を生むかもしれない。
とはいえ、あまり時間をかけているとこちらの動きに疑問を持たれかねないとも思われた。
遺跡があった国の国王が何も語らずにいるとは思わない方がいい。彼自身が漏らす可能性もあるが、ビルシュが神に近しい人間だとすると思考を読むこともできるかもしれないのだ。
俺は真偽を確かめるために、アトレイク教会本部へと出向くことにした。
「なるほど。その報告から考えると、あの悪魔に支配された国が侵攻する気配は今のところないということだね。」
ビルシュに直接面会を求め、これまでの経緯を説明した。
彼の態度には特に怪しいところは見当たらない。
「おそらくな。ただ、テトリアの鎧が消失した件が何も掴めていない。錯覚の悪魔ブリヴェットという奴がそのテトリアの鎧を幻術か何かで見せてきたが、消失現場とはそれなりの距離がある。」
「ふーん。幻術で使ったとなると、テトリアの鎧を見たことがあるということだね。君たちは実際に鎧を見たことがないはずだから、記憶が顕在化したわけでもないだろうし。」
「ただ、俺たちもそれがテトリアの鎧かどうかの判断はつかない。」
「ああ、そうだね。色や形を言ってみてよ。僕の記憶と一致するなら、間違いないということだよ。」
俺は自分が見たテトリアの鎧を記憶の限り正確に伝えた。
「うん、間違いないね。それはテトリアのものだと思うよ。」
「そうなると、あの悪魔で溢れかえった城に奴がいたということだろうか?」
「どうだろうね。そもそも彼も転移が使えておかしくはないし、鎧に憑依して一時的に戻っただけかもしれないよ。」
「目的がわからないな。」
「目的なんかないかもしれないよ。直感的に動いてるだけな気もするしね。」
本当にそうだろうか。
ビルシュの受け答えは相変わらず脳天気なものだった。
「瀕死の人間を魔族化、それに悪魔化するという発想についてはどう思う?」
「さあね。邪神が指示したとしたら真意なんかわからないよ。邪神とはいっても神だからね。真意じゃなくて神意ともいえる。何の目的があるかを測る方が難しいことなんじゃないかな。」




