最終章 You Only Live Twice 5
人生において、真実と思い込みの乖離が激しいことを知ったときはショックが大きいものである。
しかし、今の話を聞いて思わず歓喜したくなった。
俺があの変態と同じだという事実がそうでないとわかったからである。
「だが、それが事実だとして俺は何者なんだ?」
『神族といったはずだ。そしてグルルを継承できる者だといえばわかるのではないか?』
「エンシェントドラゴンの系譜ということか?」
『そこから先は知りたければ自らが調べるがいい。一連の騒動とはまた別のところにあるからな。』
ルシファーにとっては神アトレイクとその代弁者たる教皇ビルシュに関すること以外に興味はないのだろう。
いや、そこにまで干渉するべきではないということなのかもしれない。
「まだ大きな疑問がある。最初のテトリアとの戦いの後に神威術を一時的に使えなくなった。それと同時に神アトレイク、いや教皇ビルシュからの干渉が途絶えたがそれについては何か知っているのか?」
『それは私が干渉したからだ。あのときにその場で戦えば多くの死者が出た。それは大きなうねりとなり、この世を混沌へと導く発端になりかねなかった。』
「信仰で神がより強い権威を持つというのならば、それは矛盾するのではないのか?」
テトリアは神アトレイクの使徒だともいわれていた。そのテトリアが人々を傷つけてしまえば、弾劾はアトレイクにいくのではないだろうか。
『だからこそ邪神シュティンが存在するという設定なのだ。かつての英雄であり、神アトレイクの寵愛を受けたテトリアが人々に害をもたらせば闇は深くなる。そして、それをまた神アトレイクの使徒がうち滅ぼせば、崇拝は強くなると考えたのだろう。』
「では、そこに俺はどういった意味合いを持つ存在としているんだ?」
『おまえは奴らにとってもイレギュラーな存在なのだ。今回の騒動を終局させようと召喚したのは私なのだから。』
つながった気がした。
腑に落ちないものがまったくない訳ではないが、元の世界でのシュティンの接触は結果として害をなすようなものではなかったのだ。
精神干渉を試みた点はある。
しかし、その目的が俺の存在を調べるためのものだとするとそこに矛盾はなくなるのだ。
俺がアトレイク側の存在だとするならば、命を奪う機会などいくらでもあっただろう。
精神干渉などという不確かなもので何かを企てようとするのは、ただ不審を生むだけなのだから。




